秘密保護法案:与野党、大詰めの調整に
毎日新聞 2013年11月19日 11時34分(最終更新 11月19日 12時16分)
与野党は19日、国家機密を漏えいした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案を巡る大詰めの調整に入った。みんなの党は、自民、公明両党がみんなの要求を受け入れて、首相が秘密の指定基準策定を行い、基準は閣議決定するなどとする案を示したことを受け、同日午前の党政調の会議で執行部一任を決定。みんな幹部は「これなら乗れる」と明言しており、同日午後の役員会で与党案の了承を正式決定し、与党とみんなは同日中にも正式合意する見通しとなった。与党は日本維新の会とも修正合意をめざしており、同日午後再協議する。
みんな案は5項目で、閣僚らが特定秘密を指定する時は首相の同意を義務づけることが柱。与党は18日の協議で▽指定基準を策定する主体を政府から首相に変え、閣議決定も行うと明記▽個々の指定・解除も首相が指揮監督し、必要な際は資料の提出を求める−−などの案を示した。与党が形式的に首相の関与を明記してみんなの要求に応じた格好だが、実務を各省庁が担う実態はほとんど変わらない内容だ。
維新は19日午前、国家政策部会を開き対応を協議した。松野頼久・国会議員団幹事長は「これは良いがこれはダメだという交渉をしているぐらいなら、今日あたり席を立って壊すのが一つの方向性ではないか」と修正協議の決裂に言及した。一方、別の同党幹部は「ぎりぎりまで交渉は続ける」と述べた。
一方、民主党は19日午前、「次の内閣」の閣議で秘密保護法案の対案を正式決定した。法案の名称を「特別安全保障秘密保護法案」とし、▽秘密の範囲を他国との情報共有で特に守る必要のある安全保障分野に限定▽罰則を政府案の懲役10年以下から5年以下に引き下げる−−などの内容。
民主党は同法案に加え、▽秘密指定の是非を第三者がチェックする「情報管理適正化委員会」を設置する法案▽全ての公文書を30年後に公開する内容の公文書管理法改正案▽国会の関与を強める国会法改正案−−の計4法案を同日、衆院に提出する。既に提出した情報公開法改正案も含めて対案と位置付け、対決姿勢を強める構えだ。【笈田直樹、阿部亮介】