韓国経済は朴槿恵(パク・クネ)政権の「親中反日外交」と経済無策にあえいでいる。輸出依存で内需低迷というゆがんだ構造を変えられないなか、為替のウォン高が再加速し、多くの製造業が採算ラインを割り込んだ。ほぼ唯一の勝ち組とされるのがサムスン電子だが、スマートフォン依存の利益構造に変調の兆しがうかがえる。また、新製品の不振やグループ企業の業績悪化など懸念材料が浮上してきた。
為替市場でウォン高が再燃している。1円あたり10・50ウォン台とリーマン・ショック以来約5年2カ月ぶりの円安ウォン高水準を記録した。
対ドルでも6月の1ドル=1160ウォン台から、1050ウォン台まで1割近くウォン高が加速した。韓国の経済団体、全国経済人連合会が主要製造業に対して実施したアンケートによると、損益分岐点は平均1ドル=1066・4ウォン。機械・電機(1087・5ウォン)や石油化学(1081・3ウォン)はすでに採算ラインを割り込んだ。
主力企業の業績が落ち込むなかで、独り勝ちしているのがサムスン電子だ。7〜9月期も売上高が13・2%増、営業利益は26・1%増と、ともに過去最高を更新した。
業績絶好調のサムスンだが、グループ全体に目を移すと、違う風景が見えてくる。電池や有機ELなどを手掛けるサムスンSDIの営業利益は66%も減少、電子部品メーカーのサムスン電機や、サムスン・ディスプレー、サムスン精密化学といったグループ企業も減収減益に見舞われた。
当のサムスン電子にしても、テレビなど家電やディスプレー事業は苦戦しており、スマホと関連半導体で利益の大半を稼ぐという構図だ。