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高齢者の交通死激増 夜間の横断に細心の注意
(2013年11月23日午前7時10分)
高齢者が犠牲になる交通事故に歯止めがかからない。今年の福井県内の事故死者49人のうち、6割の29人が65歳以上で、昨年同期を17人上回っている。ほとんどが歩行中などの交通弱者だ。
加害者となる運転者にも刑事的、経済的、社会的に大きな制裁が科せられる。死亡事故は例年、年末に多発する。事故の特徴を踏まえた集中的な対策で悲劇を1件でもなくしたい。
県内の今年の交通事故死者49人は、昨年同期に比べ17人多い(20日現在)。高齢者の増加分が上乗せされた形で、増加率53%は全国ワースト1位だ。
今年は人身事故件数、負傷者数とも減っているのに、死者数だけが突出している。昨年の死者数が前年を24人下回り、減少率全国1位だったことの反動だとは、単純に片付けられない。昨年の高齢者の死者数15人が、平成に入って最少だったのをみても異常事態といえる。
高齢者の死亡事故をみると、歩行中に14人、自転車で走行中に2人が、車にはねられて亡くなっている。ほとんどが道路を横断中で、夕方から午後9時ごろまでに集中している。
この11月は、その特徴が出た事故が相次いだ。死亡した5人のうち3人が70〜80代。福井市と越前町ではいずれも夕方、道路を歩いて渡っていた84歳、88歳の女性が車にはねられた。坂井市では夜間、自転車の73歳女性がはねられ亡くなった。
3月末から1カ月弱の間に集中した4件はさらに顕著だ。福井、敦賀、勝山市でそれぞれ86歳、73歳、88歳、76歳の男女4人が道路を横断中に車にはねられた。発生時間は午後7時、同8時前後、深夜1時だった。
これら事故の大半は自宅のごく近所で起きている。高齢者の行動範囲の狭さも要因だが、生活圏で慣れた道路、コンビニの行き帰りなどは警戒心が薄れるとみられる。「ちょっとそこまで」でも明るい色の服装、横断前の左右確認を心掛けたい。
一方運転者は、暗がりから道路に出てくる人はいないはず、と思い込み運転をしていないか。とりわけ住宅地、病院やスーパーなどの周辺では速度を落とし、常に危険を予測した、人に優しい運転が求められる。
日没が早く、夜明けが遅い年末。雨や雪で運転者、歩行者ともに視界が狭まり、さらに危険度は増す。県警によると、過去5年の累積で、月別の交通事故死者数は12月が38人と突出している(次点は8月の30人)。
こうした現状に、県は「交通安全年末ピカピカ大作戦」を大みそかまで展開する。反射材を7千人分用意。温浴施設などで、了解を得て靴やかばんにその場で付ける。高齢者死亡事故が起きた現場6カ所でも行う。
2日には「一斉スロードライブデー」と銘打った街頭活動をあわら市で実施し、運転者に早めの点灯、ハイビーム走行を求める。歩行者、運転者双方が、わが身に降りかかるものと真剣に受け止めないといけない。
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