教育委員会改革:首長に教育行政の決定権

毎日新聞 2013年11月23日 07時52分(最終更新 11月23日 10時58分)

教育委員会制度の改革イメージ
教育委員会制度の改革イメージ

 教育委員会制度改革を議論している文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」の教育制度分科会(分科会長=小川正人東京大名誉教授)が、首長を教育行政の決定権限を持つ「執行機関」とする素案を検討していることが分かった。27日の分科会で示し、年内の答申を目指す。だが首長の権限が強くなり過ぎ政治的中立が保たれないとの指摘があり、曲折も想定される。

 教育委員会制度改革は、大津市の中2男子いじめ自殺問題をきっかけに、政府の教育再生実行会議が4月、教育長を地方教育行政の責任者と位置づける改革案を提言。下村博文文科相は来年の通常国会での法改正を目指し、年内に答申するよう中教審に諮問した。

 中教審では、教員人事や学校の設置、管理を担う「執行機関」の仕組みを中心に議論。教育長への権限集中に反対する意見や迅速な意思決定を重視する意見があり、首長がどのように関与すべきかを検討。その結果、18日の分科会で、首長を「執行機関」、教育委員会を「首長の付属機関」、教育長を「首長の補助機関」とする第1案と、教育委員会を「執行機関」、教育長を「教委の補助機関」とする第2案を提示した。

 関係者によると、27日に提示される素案は、首長が執行機関となる第1案がベース。しかし、教育長の権限が弱すぎる点や首長の教育行政への関与が強すぎるなどの不安もあり、答申案の取りまとめまでにさらに数回、分科会が開かれる見通し。【福田隆】

最新写真特集