汚染木材:放射性セシウム、滋賀県の4倍検出 NPO測定
毎日新聞 2013年11月20日 15時00分
滋賀県高島市の琵琶湖畔に放射性物質に汚染された木材チップが放置されている問題で、京都のNPO法人がチップから1キロ当たり約1万2000ベクレルの放射性セシウムを検出したことが20日、分かった。県が公表した濃度の4倍にあたり、国が処分する指定廃棄物の基準値8000ベクレルを超えていた。県の濃度が低かった理由として、台風の後で雨水を大量に含んだ状態での測定が原因とみられ、専門家は「やり方が不適切だ」と指摘している。
一方、県は「汚染の疑いが強まった時期が雨の後だった。測定方法に問題はないと考えているが、撤去する際に再調査も検討したい」としている。
問題のチップは約300トン(約580立方メートル)あり、今年3月から高島市の鴨川河川敷に勝手に置かれ、一部は袋入りで放置されている。県などの調べでは、東京都の会社経営者が東京電力福島第1原発事故で汚染された木材チップを、福島県の製材会社を通じて、滋賀県内に運び込んだとみられる。
今回、測定したNPO法人「市民環境研究所」(京都市)代表の石田紀郎(のりお)・元京都大教授(環境毒性学)らメンバーは10月31日、放置現場4地点でチップを採取。含まれた水などを3日間自然乾燥させた後、測定装置で調査。1キロ当たり約1万2000ベクレルの放射性セシウムを検出した。
一方、滋賀県は9月6日に7地点でチップを採取。県衛生科学センターで測定し、1キロ当たり約3000ベクレルの放射性セシウムを検出したと同17日、公表した。しかし、気象庁などによると、現場周辺は台風17号などの影響で、県がチップを採取した前々日までの4日間に約100ミリの雨が降っていた。このため、県によると、チップは含水率60〜70%の状態だったという。
木材チップを巡っては、滋賀県が9月以降、放置現場周辺の河川水や近くの川に生息する魚を調べているが、いずれも放射性セシウムは検出されていない。【千葉紀和】
◇「雨後の県測定、不適切」
汚染濃度測定について、環境省廃棄物対策課は「雨後など極端な状態での測定は適切ではない」と指摘。汚染濃度の測定法マニュアルを策定した山本貴士・国立環境研究所主任研究員も「含水率70%は試料の取り方としてあり得ない」と話す。