福島第1原発事故:飯舘村民、被ばく平均7ミリシーベルト
毎日新聞 2013年11月19日 15時00分(最終更新 11月19日 15時32分)
東京電力福島第1原発から約30〜50キロ北西に離れた福島県飯舘村で、原発事故後の全村避難がほぼ完了する約5カ月間に、村民の外部被ばく量が平均7ミリシーベルトに達したとの調査結果を京都大や広島大などの研究者らがまとめた。一般人の法令上の被ばく限度は年間1ミリシーベルトで、その7倍にあたる。村民の多くは事故直後に自主避難したものの、その後一時帰村したためとみられ、「国や自治体がもっと早く避難させていれば、避けられた被ばくだった」と防災上の問題点を指摘している。
調査は京大原子炉実験所の今中哲二助教らの「飯舘村初期被曝(ひばく)評価プロジェクト」。2011年3月11日の事故直後から避難がほぼ完了した7月末までの住民の行動を調査するため、今年7〜10月、498戸から聞き取り、全村民の29.6%にあたる1812人の行動データを集めた。
事故直後に自ら飯舘村で計測した土壌中の放射性物質の種類や濃度、米国が航空機から測定したデータを基に村全域の被ばく量推定マップを作成。これに、聞き取りから得た住民の行動状況を反映させ、一人一人の被ばく量を割り出した。
その結果、村民の平均被ばく量は、福島県の県民健康管理調査の結果から算出された3.6ミリシーベルトの約2倍に当たる7.0ミリシーベルトと算出された。最大は原発に比較的近い地区に住んでいた60歳代男性の23.5ミリシーベルトだった。年齢別では、60歳代の平均8.5ミリシーベルトが最大。10歳未満は早期避難者が多かったことなどから、平均3.8ミリシーベルトにとどまった。
調査結果によると、飯舘村に残った住民は3月11日から急激に減り、3月21日には53%まで下がった。ところが、それ以降、村に戻る人が増え、4月20日ごろには75%に。4月22日に計画的避難区域(約1カ月をめどに避難)の指定を受け、再び残留率が下がった。一時帰村した主な理由は「避難先の生活が困難になった」「行政主催の放射能講演会で安心した」「村内の職場から帰村を要請された」だった。