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ボードレールの「恋愛は売春の趣味に他ならない。またどんなに高尚な快楽も売春に...
ボードレールの「恋愛は売春の趣味に他ならない。またどんなに高尚な快楽も売春に還元されない」
ってどういう意味でしょうか?
本文、少し違うかもしれませんが;
お願いします!
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- 質問日時:
- 2012/12/17 19:53:18
- ケータイからの投稿
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- 解決日時:
- 2012/12/24 21:28:32
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ベストアンサーに選ばれた回答
少し違うようです。ボードレールは「高尚な快楽は売春に還元される」といっています。
L'amour, c'est le goût de la prostitution. Il n'est même pas de plaisir noble qui ne puisse être ramené à la prostitution.
("Fusées")
恋愛とは、売春の趣味だ。のみならず、いかに高尚な快楽と雖(いえど)も、売春に還元し得ぬものはない。
(「火箭」 齋藤磯雄訳)
※ 「Il n'est pas de ~ qui ne...」は、「...ないような~は存在しない」(売春に還元できないような「高尚な快楽」は存在しない)です。
訳者の齋藤磯雄による註解にはこうあります:
「ボードレールは、この「売春」という言葉から、金銭的なものと猥褻なものとを全く除き去り、これを極めて特異な、極めて抽象的な意味に於て使用していることに注意しよう。この語は、自己を与え、自己を脱出し、他者と交り、他者に入り込み、他者と同化するような、一連の心理的な動きを指示するのに用いられている。」
(わたしが持っている原書の脚注には、ボードレールにとって「売春」は「慈愛」(charité)の一形式だ、とありました。)
そして「火箭」では、ボードレールは「芸術とは何か、売春だ」(Qu'est-ce que l'art? Prostitution.)とも言っています。
また「赤裸の心」(Mon coeur mis à nu)には次のように書かれています。
「人の心の中には、やむにやまれぬ売春の趣味があり、そこから孤独を厭う気持が生れて来る。人はニならんことを希う。天才者は一ならんと欲する、故に孤独である。/栄誉は、単独者として踏みとどまることに在り、また一種特別な方法によって売春することに在る。/この孤独を厭う気持、他者の肉体の中におのれの自我を忘れ去らんとする欲求、これこそ人間がお上品に、愛することの必要と名づけているものだ。」
世間一般には、恋愛はよいものであり、売春は非難されるべきものである、という認識があると思いますが、ボードレールは「恋愛」を、人の心の中にある「売春」への嗜好の表れであると断定することで、そのような認識をいったん壊し、さらに(「芸術」のような)「高尚な快楽」も一種の「売春」であると主張することによって「売春」を称揚しています。
ボードレールによれば、人には、自分を他者に与え、他者に入り込むことによって自分を忘れたいという欲求があり、それが「売春の趣味」である。「売春の趣味」がリアルの世界で「ニ」になることによって実現されるのが「恋愛」であるが、「天才者」は「一」として、孤独のうちにとどまりながら、「一種特別な方法」による「売春」すなわち「芸術」によって他者に自分を与え、他者に入り込もうとする、ということになると思います。
- 回答日時:2012/12/18 20:21:38
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