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【企業徹底研究】vol.280 【更新日:2013.11.17】

犯罪に走るプロ野球選手 苦しすぎる「セカンドキャリア」の実態

  
  
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11月12日、北海道日本ハムファイターズ元投手の2軍マネージャー・宮本賢容疑者が強姦容疑などで逮捕された。マネージャーとしてはまじめに働いていたとのことで、球団関係者や野球ファンからは驚きと困惑の声が上がっている。

元プロ野球選手による事件は、過去にも少なからずあった。輝かしいキャリアを持っていながら、なぜ引退後にこうした事件を起こしてしまうのだろうか。

テレビ中継が減り「解説者」は激戦区

たとえば、山根善伸・元捕手は2012年に詐欺容疑で逮捕されているし、2004年には小川博・元投手も強盗殺人で逮捕されている。ほかにも、当たり屋詐欺やコンビニ店員への暴行、電線の窃盗など、元プロ野球選手の起こした事件は少なくない。

球界事情に詳しい関係者は「何か事件を起こした際に、元プロ野球選手という肩書きが目立ってしまう側面もありますが…」としながらも、次にように語る。

「一部の人間が事件を起こしているのは事実。野球しかやってこなかったため普通の仕事になじめない、あるいは現役時代の金遣いの荒さが抜けない……。こういったことが、犯罪に走るきっかけになってしまうのかもしれません」

前述した小川元投手も現役時代からの浪費癖が抜けず、多重債務に陥ったすえに強盗殺人事件を起こしている。

そもそもプロ野球選手のセカンドキャリアは、一般人が想像する以上に厳しい。監督やコーチとして第2の野球人生を歩めるのはひと握りの選手だけだ。テレビの中継も減っているため、野球解説者というポジションも年々厳しくなっている。

「かつて野球解説者は年間契約で長期的な収入が得られましたが、現在は放送ごとの個別契約です。不況でギャラも1回10万~20万円程度ですし、ラジオはもっと低い。その仕事も知名度のある有名選手にしか回ってきません」

売りは知名度だけ「マルチの広告塔に」

キャリコネ編集部が調べたところによると、日本のプロ野球では例年80名~100名の選手が戦力外通告を受けている。引退が大々的に報道される一部の人気選手の影には、その何倍もの無名選手がいるのだ。

第2の野球人生が難しいとなると、一般の仕事に“転職”するしかない。しかしリーマンショック以降はそれも厳しくなってしまった。

「景気がよかったころは、球団ファンの会社社長が『野球やめたらうちで働きなよ』なんて選手を雇ってくれることもありましたが、今はそんな話も聞きません。一時代を築いたある有名選手でさえ『売れるものが知名度しかない』とマルチ商法の広告塔を務めていた例があります」

球界を去った人に対する金銭的サポートもない。日本野球機構(NPB)や選手会が運営する年金制度も、2011年に資金難で廃止された。

「2005年に育成選手制度が始まって以降、1度も一軍でプレーしないまま戦力外通告される選手も出てきている。こうした選手は、何の実績もないままクビになった会社員のようなもの。このままでは、プロ野球選手のセカンドキャリア問題は深刻化するばかりです」

開かれるか「学生野球の指導者」への道

実際、現役選手たちも引退後のキャリアには大きな不安を抱いているようだ。

日本野球機構が現役の若手選手246名に対して実施した「2012年 現役若手プロ野球選手『セカンドキャリア』に関するアンケート」では、7割の選手が引退後の生活に不安を持っていると答えている。

不安を感じる理由としては「進路」と「収入」が9割以上を占めている。プロ野球選手という夢を実現しても、「引退した後に生活していけるのか」「野球以外に何をやっていけばいいのか」という切実な悩みを抱えているのだ。

かように厳しいプロ野球選手のセカンドキャリアだが、明るい兆しもある。学生野球の指導者として、新たな野球人生を歩むチャンスが徐々に広がっているのだ。

従来は元プロ野球選手が学生野球の指導者になるためには「中学、高校で2年間の教諭経験」というハードルがあった。これが2013年1月に撤廃され、規定の研修・審査を通過すれば高校野球監督などの資格が得られるようになった。

すでに7月から研修が始まっており、これまでに500人近い参加者がいるという。「元プロ野球選手」という経験を生かす機会が、より広がることを期待したいところだ。

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(記事:企業インサイダー編集部 → 編集記者募集中

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