2013年7月22日(月)

登山未経験の50代。エベレストに登るには

「賢く生きる」ための全課題

PRESIDENT 2012年1月2日号

著者
三浦 雄一郎 みうら・ゆういちろう
プロスキーヤー

三浦 雄一郎2003年に70歳7カ月で当時のエベレスト世界最高齢登頂記録を樹立。08年に再登頂。

プロスキーヤー 三浦雄一郎 構成=吉田茂人 撮影=小倉和徳
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中高年のサラリーマンでもエベレストの頂上に立つことは可能だ。60歳過ぎで登っている人もいるが、ある程度の体力と技術を身につける必要がある。そこで計画的に訓練していけば、5年目には実現できる。

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エベレスト登頂までのトレーニングメニュー

1年目は夏の富士山、さらに雪上訓練を兼ねて春の富士山に登ることを目標に、そのための体力づくりを欠かさない。私もいつもやっているが、通勤や散歩の際に足首にアンクルウエート(訓練用の重し)を巻くトレーニングが効果的である。まず片足に1キログラムから始め、徐々に増やす。休日などにはこの重しをつけて登山靴を履き、本やアレーを10キログラム分入れたザックを背負って2時間、週に3日歩く。自分のペースで楽しみながらやろう。

2年目は3キログラムずつ重しをつけ、20キログラムを背負い、週に3日、2時間歩く。富士山には年に10回ぐらい登る。その際に15キログラム程度の荷物を背負い、エベレスト登山に近い装備で歩く。さらにヒマラヤの5000メートル級の山をトレッキングする。

3年目は週に3回、5キログラムの重しをつけ、25キログラム背負って2時間歩く。富士山や日本アルプスを縦走し、ヒマラヤの6500メートル級の山に登る。その頃には周囲が、「こんなに変わったの」と驚くくらいに変身しているはずだ。

4年目は週に3回、8キログラムの重しと25キログラムを背負ってやはり2時間、距離にして10キロメートルぐらい歩く。この年には8000メートル級のヒマラヤの山に登っておこう。

そして5年目でエベレスト登山の本番ということになるが、この間に筋力トレーニングで体力をつけたり、ロープワークのテクニックをボルダリングなどで身につけておきたい。

エベレスト登山にはネパール側からとチベット側からの2つのルートがある。どちらも入山料が必要で、ネパール側で1チーム約700万円、チベット側で約600万円だ。個人では入山料が1人払いになり、旅費も入れると相当な費用になるので、日本国内でも募集している公募登山(ツアー)がいいだろう。この場合は旅費込みで300万~500万円が相場である。

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