名古屋グランパスのDF田中隼磨(31)とDF阿部翔平(29)の両サイドバックがプロとして残り3試合を戦い抜く姿勢を誓った。22日に今季限りでの退団が正式に発表された2人と退団を通告されているDF増川隆洋(34)について、ストイコビッチ監督は今までと変わらず柏戦で起用する方針を表明。3人にとっては複雑な心境のまま臨むホームゲームだが、隼磨は残る若手への提言までした。
あふれる思いを抑えることはできなかった。今季ここまで31試合にほぼフル出場し、豊富な運動量で苦しむチームを支えてきた隼磨。それでもクラブライセンス制度に伴う人件費5億円削減のために切り捨てられる形となり、「正直言って切ないし、本当に悲しい」と率直な心境を語った。
ただ、それ以上の泣き言は言わない。「あと3試合しかグランパスのユニホームを着てプレーできないけど、今までやってきた田中隼磨という姿をしっかりと見せたい。ファンやサポーターに支えてもらったから、残り3試合しっかり戦って恩返ししたい」。09年のグランパス加入後5年間で出場した公式戦206試合すべてで全力を尽くしてきた。だからこそ、最後までその姿勢を貫く。
故松田直樹さんら、横浜M時代の偉大な先輩たちの背中を見て学んだプロの道を、グランパスで実践してきたという自負がある。「優秀な若い選手がたくさんいて、5年間オレの背中を見てきたと思う」。練習前の入念な準備や食生活など、高いプロ意識が受け継がれることを願った。
ただ、心残りがある。君臨してきた右サイドバックというポジションが、クラブ主導の世代交代となってしまったことだ。「できればオレから奪ってほしかった。ポジションは与えられるもんじゃない。そういう競争を来年以降、このグランパスで見せてほしい」。悔しさも、悲しさもありながら、グランパスの未来を思った。そのうえで、自らは最後まで全力で戦い抜く。それが田中隼磨という男の生き様だからだ。
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