新出生前診断:中絶夫妻、子の将来に不安 育てる自信ない

毎日新聞 2013年11月22日 22時00分(最終更新 11月22日 23時03分)

 妊婦の血液から胎児の染色体異常に伴う病気を判定する新型出生前(しゅっせいぜん)診断(NIPT)の臨床研究で、異常が確定して中絶を選んだ夫婦の多くが、子どもの将来に不安を持ち、育てる自信がないことを理由に挙げていることが分かった。臨床研究に参加する研究者らでつくる組織「NIPTコンソーシアム」が22日、仙台市内で開催中の日本人類遺伝学会で発表、検査前後のカウンセリングの充実を課題に挙げた。

 コンソーシアムのこれまでの解析によると、今年4月から9月末に、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーを調べる新型出生前診断を受けた3514人のうち67人が陽性反応となり、少なくとも53人が異常確定後に中絶したことが判明した。

 さらに、陽性の症例があった施設にアンケートした結果、誕生後の症状が重いと予想されるという理由が最多の37%を占め、染色体異常の子どもを産み育てる自信がない(21%)、将来設計に不安(21%)−−が続いた。

 コンソーシアムの左合(さごう)治彦・国立成育医療研究センター周産期センター長は、同日開いた記者会見で「施設間でカウンセリングを学び合うなどして、より良いカウンセリングを検討するとともに、きちんとデータを出す体制を整備したい」と話した。

 コンソーシアムの臨床研究は来年3月で終了する。その後については、別の病気を対象にするかどうかを含め、新たな臨床研究の継続を検討しているという。【須田桃子】

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