サムスン電子は20日、米アップルと係争中の特許侵害問題で、米国特許商標庁(USPTO)が一部特許を無効とする決定を下したことを受け、現在進行中の賠償金再算定訴訟を中断するよう米裁判所に求めた。
問題となった特許は、2本の指でスマートフォン(多機能携帯電話)の画面を拡大、縮小する「ピンチ・トゥー・ズーム」と呼ばれる技術。USPTOは今年7月、同技術の特許は無効だと決定した。アップルは反発したが、USPTOは今回改めて無効決定を下した。アップルは同特許を侵害され、1億1400万ドル(約115億円)の損害を受けたと主張していた。
今回の決定で特許の無効が確定するわけではなく、今後の訴訟で決定が覆される可能性もある。しかし、無効が確定すれば、特許侵害を理由に賠償金を要求してきたアップルの主張は根拠を失うため、サムスン側は裁判を中断すべきだと主張している。
賠償金再算定訴訟は今月12日から審理が始まった。一審の陪審団は昨年、サムスン電子がアップルに10億5000万ドル(約1062億円)を賠償すべきだとする決定を下した。これに対し、裁判所は賠償金のうち4億5050万ドル(約456億円)については、別途裁判を行い、正確な賠償額を決定すべきだと判決した。