まず碑の近くの案内版には「史跡」とあり、まるで公的機関による設置と誤解させるような意図が感じられる。碑文には「アジア太平戦争期、日本軍はアジア太平洋全域に慰安所を作りました。(中略)連行された少女・女性が性奴隷として生活することを強いられました」などとあるが、これが事実と異なることは前述したとおりだ。
そもそも、現在の韓国では売春婦が「自由に働かせろ!」とデモを繰り返し、憲法裁判所では、売春婦が「職業選択の自由」と「働く権利」を求めて国を訴えている。
さらに、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は9月にベトナムを訪問したが、ベトナム戦争時の韓国軍兵士による民間人虐殺やレイプ事件、ベトナム人女性に産ませた子供たち「ライダイハン」については、一切謝罪していない。
自国の現実には目をつぶり、60年以上前の日本について批判するとは、どういう精神構造なのか。碑文は日本語や韓国語、中国語、タイ語、ベトナム語など12カ国語で刻まれている。それほど国際社会で、日本や日本人を貶めたいようだ。
それにしても、韓国系団体はなぜ、東京から2000キロも離れた宮古島に碑を設置したのか。戦時中、約3万人の日本軍が駐屯し、島に慰安所があったのは事実だが…。私はこう分析した。
もし、東京にいきなり慰安婦の碑を作れば、猛烈な反発を受ける。目立たないところから、じわじわと侵略していく。これは中国の毛沢東元国家主席の「地方から都市へ」という革命戦略に似た、巧妙な罠だ。韓国は朴政権以前から、長期戦略で「日本を貶める」仕掛けを続けている。
最近、韓国メディアが少し軟化してきたとも伝えられるが、決して油断してはならない。
■大高未貴(おおたか・みき) 1969年、東京都生まれ。フェリス女学院大学卒業。ダライ・ラマ14世や、PLOのアラファト議長などにインタビューし、95年にジャーナリストとしてデビュー。世界100カ国以上を訪問し、潜入ルポなどを発表。著書に「神々の戦争」(小学館)、「冒険女王 女一人シルクロード一万キロ」(幻冬舎)「日本被害史」(共著、オークラNEXT新書)など。