知らない人のためにまず解説すると、虚構新聞というサイトがある。
いつもウソのニュースをお届けするという変わった趣旨で運営されているネタサイトだ。
で、最近このサイトが、「日本ユニセフ、寄付金の流れ透明化」というエントリーを公開した。
元記事は既に削除されているので、yahoo知恵袋に魚拓(てか全文転載)されていたやつを紹介します。
港区高輪にある「ユニセフハウス」(地上5階地下1階)
公益財団法人日本ユニセフは17日、これまで使途が不透明だとして批判されてきた同団体への寄付金について、
来年度から透明化を徹底させると明らかにした。
日本ユニセフは国連児童基金(ユニセフ)と協力協定を結んだ民間団体で、
毎年寄付金名目で集めた活動費の8割以上をユニセフに拠出する実績を上げている。
また国内での広報活動にも積極的で、今月19日には国連総会が定めた
「世界トイレの日」にちなんだオブジェ「見えないトイレ」を昭和記念公園に設置。
今更ながらにトイレのありがたみを訴えていく。
だが、これらの活動実績にもかかわらず、近年インターネットを中心に
「寄付金をピンハネしている」「活動がうさんくさい」といった協会への批判が相次いで寄せられており、
中には「日本ユ偽フ」という中傷まで見かけられるようになった。また14日には、
協会親善大使で健康食品「五色霊芝」の販売でも知られる自称歌手のアグネス・チャンさんに対し、
元2ちゃんねる管理人の西村博之さんが「子どものためを思えば、
100%をユニセフ本部に送っているユニセフ親善大使の黒柳徹子さんを薦めるべきではないでしょうか?」
という公開質問状を自身のブログに掲載したことから、現在寄付金の在り方についての議論が再燃している。
この日港区高輪にある地上5階地下1階の「ユニセフハウス」で行われた会見では、
このようなネット上での誹謗中傷に対して「子どもがペットボトルにためて送り付けてきた大量の1円玉や、
1つ1円にもならないペットボトルのふたを数える手間などを考えると、
無償のボランティアとして継続的に活動していくのは難しい」として、改めて反論。だがその一方で、
情報公開においてこれまで不徹底な部分があったことを認め、来年度から寄付金の透明化を徹底させることを明らかにした。
透明化に向けた具体策として日本ユニセフでは、来年度から寄付金の出入りをクリアーにするため、
総工費25億円を投じて01年に完成させたユニセフハウスを取り壊し、
通行人から見えない地下階を廃した地上40階建て全面総ガラス張りの新本部ビル「新ユニセフハウス」の建設に取り掛かるほか、
寄付金を金融機関に運搬する際に使用する現金輸送車もコンテナ部分を強化ガラスにした透明な特注車を計25台発注。
「限りなく透明に近い日本ユニセフ」を目指す。
これら組織の透明化に伴う総費用はユニセフへの拠出金2年分に相当する240億円程度に達する見込みだが、
協会では「将来の増収を見越しての先行投資」と位置づけており、
今後数年間ユニセフへの寄付金拠出を見送った後、費用回収が終わる18年度から拠出を再開する。
今回の改善案について、本紙ではアグネス・チャンさん本人に取材を申し込もうとしたが、
1回100万円とも言われる講演料のため取材を断念し、コメントを勝手に捏造した。
▼自称人権活動家アグネス・チャンさんの話
「ロリコンはみんな内輪差に巻き込まれて死ねばいいのにですね。。。」
しかしこれが、公開後わずか数時間で
日本ユニセフからクレームが来て、以下のような状態になった。
この一連の事件に関して
私は素直におもしろいなぁと思った。
記事の内容そのものも面白いし、それに対してユニセフがクレーム出して来た事自体を公開して、さらにネタにしてしまう。
それでさらなる話題性を獲得する。
皮肉とかそういう意味でなくて、素直に「さすが虚構新聞さん!」と思った。
ところが最近
その虚構新聞さんが、一部のブロガー達からめっちゃ叩かれてることを最近知った。
はてなブックマーク内で僕が確認できただけでも、5記事くらいそういうエントリーがあった。
どれも300ブクマくらい集めてた。
で、今回
それらのアンチ虚構新聞の人達が、どういう理由で虚構新聞を叩いているのかに興味が沸き、それらの記事を一つずつ読んでみた。
そしたら、さっぱり意味がわからなかった。
それも一記事がわからないとかじゃなくて、全ての記事がそうなんだ。
あまりに意味がわからなすぎて、1度はこのことを当ブログで記事化することを諦めかけた。
でも頑張って読んでみた。
今日一日、昼の12時くらいから18時くらいまで、ずっとアンチ虚構記事を読んでた。
頭がおかしくなるかと思った。
それでも私は読み続けた!!
その結果、やっと少しだけ彼らの言いたいことの片鱗が見えてきた。
どうも今回の虚構を批判している人達は、以下の2パターンに分類できるようだ。
- ボケを風刺だと誤解しているパターン
- 風刺をボケだと誤解しているパターン
それじゃ解説いってみよー。
1.ボケを風刺だと誤解しているパターン
虚構新聞が書く記事は、この日本ユニセフの記事に限らず、風刺にもなっていない「悪質なデマ」が多い。
抗議があるのは当然であって、「痛いところを突かれたので圧力をかけて正義の風刺を削除させた」といったような妄想はあまりにも下劣だ。
僕は荒唐無稽なホラ話は好きだが、少なくとも今回の虚構新聞の記事はホラ話ではないと思っている。内容のほとんどがネット上に流布する日本ユニセフ協会についての悪いイメージを寄せ集めて拡大しただけで、独創的な部分がないからだ。
パロディとしてはユーモアがなく風刺としてはキレがない、そして気骨も信念もない虚構新聞 - Hagex-day info
今回の問題となったエントリーも「社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判」よりも、「(政治目的はないが)意図的に流す扇動的かつ虚偽の情報」の比率が大きい。
この三記事は、今回の虚構新聞の記事を、「ユニセフを批判(風刺)する内容」と読んだようだ。
えーなんでそうなっちゃうのー?
虚構新聞が今回書いた内容は、
「世間でユニセフの金銭の流れが不透明だという批判が高まっている」
「それに対して、ユニセフが総工費40億円をかけてビルや現金輸送車を透明にすることを決定☆」
というもので、明らかにただのネタだ。
ただのボケだ。
これは別に風刺でもなんでもなくて、ただのブラックジョークとかそういう類いのものだろう。
「総工費40億かけてガラス張りのビルや現金輸送車」とか、
「1回100万円とも言われる講演料のため取材を断念し、コメントを勝手に捏造した」とか
これだけつっこみどころ満載の記事に対して、
「風刺になってない!これはデマだ!(ドヤァ)」って……。
何を言ってるんだお前は(´・_・`)?
って話だ。
早とちりさんが出ないように、「コメントを勝手に捏造」なんて一文まで入れてくれてるくらい、明らかにウソであることを前面に出してるジョーク記事に対して、デマもクソも無いだろ。
さらにこんな批判も…
パロディとしてはユーモアがなく風刺としてはキレがない、そして気骨も信念もない虚構新聞 - Hagex-day info
とある中学校のお話。ユニセ夫君はお金持ちだけど、成金趣味のお宅に住んで、お母さんはちょっとツッコミどころがある人。クラスではユニセ夫君を嫌っている子も少なくありません。
そこで、同じクラスの虚構君は学級新聞で「ユニセ夫君一家は「寄付金をピンハネしている」「活動がうさんくさい」という批判があるので、家をガラス張りにして透明化にした。しかし建物が透明になりすぎて、ユニセ夫は自宅のトイレでおしっこができず。そのため、夜中におねしょを連発。ユニセ夫君のお母さんにインタビューしようと思ったけど、お金を要求されそうだったので、コメントを捏造して以下のように書きました……」と書いて発行。クラスでユニセ夫君を嫌っている生徒は大喜び。虚構君もクラスで注目を集めて大満足です。
しかし悪意がある書き方で嘘も混じっており、そのことを注意した生徒がいても「(相手が女子の場合)お前、ユニセ夫が好きなのか? お似合いだよwwwww」と発言される始末で、学級新聞派の生徒と対話の余地がありません。
その後、この学級新聞がユニセ夫君のお父さんに目に入り、学校にクレームをつけ学級新聞の削除を求めます。そのことを聞いたが虚構君は再び学級新聞を発行。「ユニセ夫一家から恐ろしい抗議がきたので削除した。あまりに暴力的な要求でビックリ! あんなの読めば嘘だとすぐわかるのに、そんなのもわからないの?? しかし……俺は反論も連絡もせずに記事を削除する。なぜなら一層議論が深まるからだ!(キリ」
さて、いちばん悪いのは誰でしょう?
いやいや、「悪意のある書き方」って?
どこにそんなのあったの?
なんかこのグループの人達はみーんな、「虚構がユニセフを批判していた」という前提で話を進めてるけど、それがすでに間違ってないかい?
私はあの記事を読んで、そんな意図は一切感じなかった。
「自称人権家」という表現のあたり、アグネスを揶揄する意図だけは感じられた。
だが、ユニセフそのものを批判したいという意図は全く感じられなかった。
と思ってあちこち調べてみたら
虚構新聞さんところにこんなことが書いてあった。
虚構新聞デジタル:本紙記事「日本ユニセフ、寄付金の流れ透明化へ」についてご報告
つまり虚構新聞さんは、
- 「ネット上に広がるユニセフの「募金ピンハネ問題」に関しては、的外れであると思っている(ユニセフを支持している)」
-
「だけどアグネス・チャンに関しては、ユニセフの代表として資質に問題があるのでは? と感じている」
という立場だったわけだ。
ってことはやっぱり、「ユニセフ自体を批判する意図は無かった」ということだ。
あ、やっぱそうですよね。
むしろあの記事に、それ以外どういう解釈の仕方があったんだろう。
結論
批判するならちゃんと中身読んでくれ!!
2. 風刺をボケだと誤解しているパターン
へー、こういうこと書いても「これは嘘ニュースです」って見えないところに書いておけば許されるのか。
そしてそれを褒め称える人間が次々集まってくるのか。すごいね。
これが許されるのならあいつ殺すとかこいつヤクザとか書いても「嘘ニュースです」って書いておけば大丈夫だね。
殺す。(嘘ニュースです)
この人はこれまでの逆パターン。
「風刺」の部分を「虚構ネタ」だと誤読している。
虚構新聞がアグネスを「自称人権家」と表現したのは、全体のネタに対して、この部分だけは「風刺」を込めたかったためだろう。
それは前述の
虚構新聞デジタル:本紙記事「日本ユニセフ、寄付金の流れ透明化へ」についてご報告
を読んでも明らかだ。
でも彼はそこを読み取ることが出来ず、
「虚構(冗談)って言えば、明らかな悪口言っても許されるのかよ!?」
といきり立って、一人で勝手に怒っているのだ。
結論
だからちゃんと中身読めって!!!!
最後に
ここまで書いて、段々この人達の思考パターンがわかってきた。
この人達みんな、読解力が低いんだ。
あるいは意図的に内容を理解しようとしていないんだ。
だから虚構新聞のどこまでがネタで、どこまでが風刺なのかということを、正確に読み取れてないまま、一人で勝手に誤読して怒ってるんだ。
うん、めんどくさい人達だなww
批判するにしても、もう少し相手の意図をしっかり把握したうえで批判してほしいですね。
まぁ虚構新聞自体が、どこまで本気でどこまで冗談かわかりづらいジャンルなので、こういう人達が出てくるのは仕方ないのかもしれないけど……
とりあえず、何かを批判するなら、ちゃんと相手の意図を汲み取った上でしような!
じゃないと話がややこしくなるからな!
っていうお話でした。
ここまで書くのに約7時間かかったわ……