第19回 ふたりのおばあさんが住むお屋敷に僕も住んだ 【あるキモい男の出自 ⑦】

「両親は自分が生まれて早々に離婚してしまった」というAV監督の二村ヒトシさん。離婚後、早々に人気開業医となった二村さんのお母さんですが、今回の連載では、「なぜ30代そこそこにもかかわらず、母はいきなり六本木に病院を建てることができたのか?」について語っています。そこには不思議な元芸者姉妹とのご縁がありました。

なぜ、30歳前後で母は六本木に病院を建てることができたのか?

結婚したりヒトシを産んだり離婚したりする前、まだ三十歳そこそこで勤務医を辞め、いきなり六本木に土地を買い、家を建て、そこで「二村医院」を開業したフミエ。そんなことが独力でできるわけがない。援助者がいたのである。

フミエにお金を貸してくれたのは【フミコおばちゃん】という人の旦那さんだ。フミコおばちゃんは実母を亡くしたフミエの母替わりのような存在だった。彼女もフミエの母・ソノと同じく元芸者さんであるが、名前が似ているのは偶然で、フミエとは血はつながっていない。

フミエはフミコおばちゃんを実の母のように愛した。子どものいないフミコおばちゃんもフミエを娘のように愛した。

もしかしたら実の母娘ではなかったから、愛しあえたのかもしれない。

フミエの父・キチジの弟にジロウという人がいた(キチジは吉次と書くのだが、その弟が二郎か次郎というのは普通に考えたら不自然な話で、この二人は母親が違うのかもしれない)。ジロウおじさんはサラリーマンだったが、兄と同じように芸者さんと結婚した。そして離婚し、その後また別の芸者さんと結婚する。板前あがりの飲食経営者だったキチジはともかく、サラリーマンが芸者とがんがん結婚離婚をくりかえす「戦後」という時代の迫力パねぇ……、とか書こうと思ったが、考えてみれば現代でも、キャバ嬢さんと結婚して離婚して次のお嫁さんがまたキャバ嬢ってサラリーマン、いますね。

ヒトシはジロウおじさんの顔や物腰を、かすかに覚えている。ヒトシは自分の顔が、父・タカシと、母方の大叔父・ジロウとを混ぜあわせた顔であることを思う。タカシは寂しそうな顔で、ジロウは外人のような強そうな顔だった。

大叔父の最初の奥さんと大金持ちのお妾さんという元芸者姉妹

ケイクス

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