訴訟の行方はトヨタに有利になったが、その一方で、原告にはリコール手続きの遅れ等で不利益を被ったとの主張もあり、依然として訴訟が長期化する懸念もあった。そこで、トヨタは時間を浪費するよりも、過失の“潔白”が立証されたタイミングで、金銭解決する道を選んだ。手厚い補償を施すことで、ユーザー重視の姿勢を見せる狙いもあったようだ。
反トヨタ感情の沈静化により、12年の米国での新車販売台数は前年比26.6%増の208万台と絶好調だ(米オートデータ調べ)。あるトヨタ幹部は、「ユーザーの信認を得られてきており、和解はベストのタイミングだった」と言う。
訴訟問題と決別して、トヨタは反転攻勢をかける。13年は世界販売台数991万台と過去最高を目指す。豊田社長の今年のキーワードは「原点回帰」。かつて、拡大路線へ走るがあまりに品質問題へと発展したことから、原点には、品質問題を風化させることなく、襟を正すという意味合いが含まれている。新生・トヨタの復活劇が始まった。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)