田原の風力発電運転差し止め仮処分/騒音認定も「受任すべき程度超えない」
2013/11/22
田原市六連町の風力発電施設の騒音により精神的苦痛などを受けたとして、同市の農業、大河剛さん(45)が、設置会社の「ミツウロコグリーンエネルギー」(東京都)に運転差し止めを求めた仮処分手続きで、名地裁豊橋支部(武藤裕一裁判官)は10月31日「受忍すべき程度を超えるものであるとは言えない」として、申し立てを却下する決定を下した。大河さんは、稼働停止などを求める提訴を検討している。
大河さんは、自宅から約350㍍の場所へ、2007年1月から稼働する風車施設の稼働音に悩まされて頭痛や睡眠不足などに陥ったとして、今年8月26日に運転停止を求める申し立てを行った。
環境省は騒音についての環境基準値を定めており、大河さん宅に当てはまる値は昼間が55デシベル、夜間は45デシベルとなっている。同地裁は大河さん宅の屋外で、最大で55デシベルの騒音に達することを認めたが「生活や就寝を妨げる程度の騒音とみることはできない」と大河さんの主張を退けた。
同社は04年8月、同市久美原地区の住民に、静岡県で風車の見学会を実施。大河さんは見学会の施設と、実際に設置された風車の騒音の違いを指摘したが、同地裁での手続きで同社は「同機種ではないが規模は同じ。騒音と捉えるのは主観によるもの」と主張した。
大河さん一家は現在、自宅から車で10分程の豊橋市のアパートで寝泊まりを続けている。同社は「騒音は環境基準を下回っている」として、07年11月以降の費用は大河さんが負担している。
同社の担当者は「適切な判断が下った。これからも地域と共生した自然エネルギーの供給に努めたい」とコメント。大河さんは「認められずに残念。引き続き施設の停止を主張していきたい」と話した。