◆司法書士の行う「労働トラブル110番無料」
ハローワークに、「司法書士にご相談下さい」というA4のカラーのパンフレッドが置いてある。無料で誰でも持っていけるように大量に置いてある。退職した人、失業者もたくさん行き来するから、いやでも目に留まる。
タイトルは「労働トラブル110番 無料」と赤字で書いてある。そこには、こう書いてある。
“ひとりでかかえていませんか?”
・もう、何日も給料が遅れてるんだけど・・・
・突然クビになってしまいました
・今日もサービス残業で・・・
埼玉司法書士会作成のパンフレッドだ。無料電話相談の日程も掲載してある。予約制による相談も総合相談センターが実施するようだ。
認定司法書士は、簡易裁判所の訴訟代理行為ができる。ただし、扱えるのは事物管轄に基づく140万円以下の民事事件だ。
ここからが本題だが、士業の実務は実力だ。相談者は、その士業のスキルを相談しながらも、敏感に察知する。「この方はあまりわかっていない」「あまりノウハウ・経験がないようだ」と悟ると信頼度はぐっと下がる。
上記の相談に応じる司法書士は、労働法をいかようにして、どれだけ勉強し、どれだけ経験を積んでいるのか。急に「相談を受け付けます」と宣伝したところで、スキルが伴っているのだろうか。認定司法書士だから、民事事件ならなんでもできると考えるのは不適切だ。
簡易裁判所の140万以下の民事事件は、認定司法書士の権利として業務扱いができる。実務は、業務上の権利、それだけでは叶わないものだ。相談者を煙にまくことはできないからだ。上記のパンフレッドに謳ってあるのは労働相談であり、簡易裁判所の訴訟を扱うものではないはずだ。
労働相談がにわか仕事でできるほど簡単ではない。条文がないテーマの相談が圧倒的に多い。それをどう相談に応じるのだろうか。社会保険労務士がだらしない、弁護士は敷居が高いなどの所々の背景を見越してのことなのだろうか。
弁護士が最近、労働法の領域に進出してきていると感じている。新司法試験でも、労働法を選択する受験者が多い傾向が続いている。しかし、実務では、訴訟が主体だ。法律事務所の収益の拠り所は民事訴訟であり、労働審判はあまり強く収益源とは受け止めていないようだ。
そこに、司法書士も進出してきた。士業の大きなうねりを感じる。当事務所とすれば、誰が進出してきてもあまり影響はない。これまでも、弁護士事務所2件に相談したあと、行政書士に相談したあとなど、いろいろな方に相談したあとで相談にくる方が多かった。
「法律事務所にいったが、労働法をあまり知らないみたいで・・・」「行政書士にいったら横柄で・・」などいろいろな声を聞いている。総じて、影響はないし、これまでと変わることはない。
ただ、同じ士業として、ある業務に取り組むのであれば、勉強してから取り組むべきだと思う。労働法はどこまで勉強しているのか、労働法のみを日夜研究していても、やり尽くせるものではない。それをどうやって・・・また、労働判例は勉強しているのか。パワハラは労働判例をあたっていなければ裁けない。話にならないのだ。
今回の司法書士の労働相談のまねごとには大きな疑問を感じる。予約による相談センターでの相談は、1時間までとなっている。どれだけの労働相談ができるのだろう。
たとえば、2年にわたるパワハラ相談をどうやって短時間で聞き取り、事実確認し、証拠あるいは疎明資料を確認し、回答し、解決の道しるべを示すのだろうか。はなはだ疑問である。
無料相談から、簡易裁判所の民事訴訟の案件でも導こうとでもするのだろうか?労働相談を仕事の発掘の手段に使うのであれば言語道断だ。真意はわからないが、収益ありきに考えが及んでいるとすれば問題である。
是非、きちんとした労働法および労働問題の探求のもとにスキルアップを図り、相談者のために魂をいれた相談を業務として行ってほしいと思わずにはいられない。
労働者の労働相談は、埼玉労働問題相談所・春日部へ
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