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沖縄は不思議な県だ。県民所得は2008年度を除けば、連続全国最下位にもかかわらず、戦後、人口は増加の一途をたどっている。あるタクシー運転手は「月10万位の稼ぎにしかならないけど、ゆいま〜る(相互扶助)精神が行き渡っているから暮らしやすいさぁ〜」という。県民全員ではないが、何かカラクリがあるのではないのか。
実は、沖縄にはあまり働かなくても大きな収入を得る機会がある。基盤となるのは米軍基地や自衛隊基地である。
沖縄県知事公室・基地対策課の資料によると、2010年度の米軍関係受取額は約2086億円で、このうち軍用地料は年間約793億円。さらに自衛隊基地の賃借料が11年度で約119億円あり、年度は違うが合わせて年間約912億円程度が直接地主に支払われている。
米軍基地で働く軍雇用員の給料は、10年度で計約504億円にのぼる。公務員並みの厚遇は魅力で、現在約1万人が待機しているという。ところが、狭き門をくぐり抜けて、めでたく採用が決まったその日から労働組合に加入し、赤い旗を振る人もいる。「米軍反対!」を唱え、一方で給料はもらうという寸法だ。
以前、私は「それって、おかしくないですか?」と聞いた。すると、組合員は「上からの指示だから仕方がないさぁ〜」という返事だった。中には、基地内で野菜や鶏まで飼ってサイドビジネスを営むツワモノもいるという。