【第1章】
7. 鼓(ツヅミ)
カウン家の姉妹は、それぞれ音楽を趣味にしていた。楽器の演奏や歌を歌うのが好きだった。そのことを知った竹鶴はある日、日本から持ってきた「鼓」を携えて、カウン家を訪ねた。見たこともない日本の古典楽器に、家族は大きな興味を示した。中でも、東洋の日本文化に興味を持っていたリタは、鼓に目を引かれていた。「どんな音が出るの?」、「どう持つの?」、リタは、いつになく積極的に質問した。竹鶴は、鼓を右肩に乗せ、右手の指先を使って、皮が張っている部分を強く叩いた。「ポーン」。鋭く乾いた音が部屋の空気を切り裂いた。何度かその音を聞くうちに、突然ルーシーがホーム演奏会を提案した。リタがピアノ、ルーシーが歌、そして竹鶴は鼓。曲は、竹鶴も知っているスコットランド民謡の「ほたるの光」となり、即興演奏会ははじまった。ルーシーの歌はともかく、竹鶴はリタと共演できる喜びをかみしめていた。(つづく)
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