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コカインの漂着「瀬取り」か
11月21日 17時41分

19日、神奈川県横須賀市の砂浜に、およそ80キロ、末端価格にして48億円分のコカインが入ったリュックサックが流れ着いているのが見つかり、警察は、密売グループが海上での受け渡しに失敗したものとみています。
警察によりますと、今回、密売グループが失敗したとみられている受け渡しの手口は、「瀬取り」と呼ばれているということです。

19日午前5時半ごろ、横須賀市長井の砂浜にリュックサックが4つ流れ着いているのを近くの住民が見つけ、警察に届け出ました。警察が調べたところ、アルミホイルと袋で包まれた78個の白い粉の塊、合わせておよそ80キロが入っていて、鑑定の結果、いずれもコカインと確認されました。
末端価格にしておよそ48億円分で、国内で見つかったコカインの量としては過去最多とみられます。リュックサックは、いずれも防水テープで巻かれ、浮きの役割をしたとみられる空の容器と、目印とみられる蛍光物質を使った光る棒が付いていたことから、警察は、密売グループが海上での受け渡しに失敗したものとみて捜査しています。

手口は「瀬取り」か

警察によりますと、今回、密売グループが失敗したとみられている受け渡しの手口は、「瀬取り」と呼ばれています。
夜間に、日本の沿岸を航行する外国の貨物船の乗組員などと、受け取り側の暴力団関係者などとの間で行われるケースが多いということです。
受け取り側はゴムボートなどの小型の船で貨物船に近づき、携帯電話などで連絡を取り合いながら、貨物船の乗組員が海に落とした違法な薬物などを回収します。
沈まないための浮きや光って目印となるものが付けられているケースが多く、最近では、位置が正確に分かるようにGPSが取り付けられているケースもあるということです。
海が荒れている場合などに受け渡しが失敗するケースがあるとみられ、神奈川県の海岸では、平成8年に拳銃9丁などが入ったスポーツバッグが見つかったほか、おととしはケタミンと呼ばれる麻薬2キロが入った袋が2つ相次いで見つかるなど、今回の横須賀市の事件を含め密輸目的とみられるものが流れ着いたケースは、平成に入ってから5件あるということです。神奈川県警察本部薬物銃器対策課の志水佳比古薬物捜査伝承官は、「日本では税関などの監視が厳しく、空港や港からの密輸入はリスクが大きいため瀬取りが行われると考えられる。瀬取りは短時間で行われるのが特徴だが、今回は海が荒れるなどして受け取り損ねたのではないか。これだけの量になると、暴力団が関わっていると考えられるが、瀬取りは暗く広い海の上のある1か所で行われるので、その現場を押さえることは難しい」と話しています。

最大の生産地域は南米

コカインは、コカという植物の葉からとれる成分を原料にした麻薬で、覚醒剤と同じように神経を興奮させる作用があり、麻薬取締法で許可を受けずに使用したり所持したりすることは禁じられています。
違法に流通するコカインの多くは白い粉状のものです。
コカインによる検挙者の多くが20代から30代で、日本でも若者を中心に乱用が広がっているとみられます。
警察白書などによりますと、コカインの最大の生産地域はコロンビアを中心とした南米で、反政府ゲリラや薬物犯罪組織がコカインを密輸して活動資金にしてきたということです。

過去のコカイン密輸事件

コカインの密輸事件は平成に入ってから急増し、警察は、海外の密売組織が日本を新たな市場にしようとしているものとみて、取締りを強化してきました。
平成2年には横浜港に着いたコロンビア船籍の貨物船の中に隠されていた30キロ余りのコカインが押収されました。
平成13年には北海道の十勝港に停泊していた貨物船の近くで男が持っていたリュックサックの中からおよそ10キロのコカインが押収されました。
さらに、平成16年には静岡市の清水港でパナマ船籍のマグロの冷凍運搬船に積み込まれていたガスボンベの中から、およそ44キロのコカインが発見されています。過去には南米の犯罪組織がみずから建造した潜水艦を使ってアメリカやメキシコなどにコカインを密輸しようとして摘発されるケースも相次ぎました。

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