中国と韓国の看過できない結託が発覚した。日本の初代総理大臣で、初代韓国統監を務めた伊藤博文を暗殺したテロリスト、安重根をたたえる石碑を、殺害現場である中国・ハルビン駅に建立する計画が進んでいたのだ。近代日本の重鎮を貶める行為に、日本政府は「安重根は犯罪者だ」（菅義偉官房長官）と反発を強めている。
韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は１８日、訪韓している中国の楊潔●（＝簾の广を厂に、兼を虎に）国務委員（外交担当）とソウルで会談し、安重根碑建立計画について「（中韓）双方の協力の下、うまく進行している」と謝意を表した。韓国大統領府が発表した。
楊氏も「円滑な推進に満足の意を表明した」と大統領府は説明。石碑の建立計画がどの程度進んでいるかは不明だ。
これに対し、菅氏は１９日の記者会見で「このような動きは日韓関係のためにはならない」と批判した上で、「わが国の主張を韓国に伝えていきたい」と強調した。
安重根碑をめぐっては、朴氏が６月に訪中した際、習近平国家主席に協力を要請。習氏は「関係部署に検討を指示する」と回答したが、国内にウイグルなど少数民族の独立問題を抱える中国にとって「テロリストによる破壊活動を称賛することになる」（日本外交筋）として、推進は疑問とする見方が強かった。
２００６年には、韓国企業家がハルビン駅近くの広場に安重根の銅像を建てたが、中国は１０日後に撤去している。理由は「外国人の銅像建設は許可しない」とされた。実際に建立されれば、中韓が歴史問題などで足並みをそろえて日本に圧力をかける思惑ともいえる。
中国・朝鮮半島情勢に詳しい元公安調査庁調査第２部長の菅沼光弘氏は「スムーズに建立されるとは思えない」といい、こう続けた。
「中国は経済悪化や官僚腐敗、治安悪化、環境問題など、さまざまな危機を抱えている。日中関係を考えた場合、安重根の石碑建立を認めるとは考えにくい。韓国を取り込むため、リップサービスをしただけではないか。ハルビンがある東北三省は少数民族も多く、民族運動を煽ることは避けるはず。中国はそれほど単純ではない」