2013.11.21 05:00(2/2ページ)

【松井秀喜氏の野球考】誰よりも長くボールを見ていた落合さん

特集:
松井秀喜
1994年に巨人移籍1年目の落合(左)からアドバイスを受ける松井

1994年に巨人移籍1年目の落合(左)からアドバイスを受ける松井【拡大】

 形だけ見ると、その人の思考に気付くことはできない。例えば落合さんと大リーグのホームラン打者、ボンズのフォームはまったく違うが、打撃のコンセプトは同じ。打つべきポイントに球が来るまで絶対前に出ない。2人は全然違う形で同じことをやり遂げている。

 だから実際に落合さんに打撃を教わって、形をまねようとしたら駄目だと思った。三冠王3度の打撃を支える思考をどう自分に応用するか。落合さんが意識していることを自分に当てはめ、打席で表現できるかだった。

 落合さん自身が野球を突き詰めて考え、独特の打撃を完成させたからこそ、見て得るものが大きかったのだろう。自分が正しいという絶対的自信がないと、あれだけ人と違う形を貫くことはできない。技術だけでなく、そういう意味でも特別な存在だったと思う。(元野球選手)

(紙面から)