防衛大綱:機動戦闘車200両 離島防衛強化へ
毎日新聞 2013年11月21日 22時17分(最終更新 11月21日 22時31分)
防衛省は21日の自民党国防関係会合で、今後の自衛隊整備計画案を示した。戦車と同様の砲身を持ち、タイヤによる高速走行の可能な「機動戦闘車」を2023年度までに約200両配備し、戦車の保有数を現在の約740両から約300両にまで削減。戦車より軽く、航空機で輸送可能な機動戦闘車を陸上自衛隊に配備し、離島防衛の強化を図る。12月に閣議決定される新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)に盛り込む。
機動戦闘車は防衛省が開発中の新型車両で、16年度から配備予定。重さは装備の組み合わせにより約26〜28トンで、航空自衛隊の次期輸送機C2で空輸できる。敵が侵攻した離島に近い滑走路まで空輸し、船で現場に急行させることが可能になり、離島防衛作戦の幅が広がるという。
陸上自衛隊はこれまで旧ソ連・ロシアの侵攻に備え、北海道に戦車を重点配置してきた。しかし、1両当たりの重さが40〜50トン程度あり、南西諸島などの離島における有事では輸送に時間がかかり、十分に対応できないとの指摘が出ていた。
戦車の配備については、すでに10年策定の防衛大綱で約400両とする削減方針が示されている。次期大綱でさらに100両減らし、部隊の迅速な展開を重視する「動的防衛力」の整備を進めたい考え。1両当たりの価格も機動戦闘車の方が低くなる見通しで、コスト削減も目指す。
一方、新たな防衛大綱では、弾道ミサイル防衛システムを備えたイージス艦の整備目標を10年大綱の「6隻」から「8隻」に増やす。このうち、4隻には米国と共同開発している海上配備型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を搭載する予定。政府関係者は「迎撃の成功率が高まるとともに、守備範囲も拡大する」と話している。【青木純】