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<秘密保護法案>前言翻した維新…みんなの動向に焦り募らす

毎日新聞 11月21日(木)6時4分配信

 自民、公明両党と日本維新の会が20日、特定秘密保護法案の修正で合意した。「修正を丸のみしないと法案に反対する」とぶち上げていた維新だが、合意した秘密の指定期間「最長60年」の例外規定はあいまいで、維新案の「全面公開」とはほど遠い。秘密指定ができる省庁を限定する修正もかなわず、第三者機関の設置は時期や仕組みさえ不明確だ。与党とみんなの党の合意に焦った維新は「見せ場」を作ろうと、前言を翻して「合意ありき」の譲歩を連発した。【飼手勇介、笈田直樹】

 ◇与党と修正合意

 「政府案と変わらないじゃないか」。19日の協議で「最長60年」の例外7項目を与党から見せられた維新実務者の一人は、法案が秘密の範囲を示した「別表」とほぼ同じだと文句をつけた。

 別表と例外7項目の趣旨が同じなら、膨大な特定秘密のほぼ全てが60年後も公開されず、修正した意味がなくなる。だが維新はその場で数項目の表現を受け入れ、残りの項目も20日に再修正の上で容認した。維新幹部は記者団に「秘密指定が解除された情報は、全て公文書館に移管するという条文にした。廃棄はされない」と成果を強調した。

 また維新は秘密指定ができる省庁を内閣官房と外務、防衛両省に限定しようとしたが、修正の結果は広く「行政機関の長」が指定できる政府案が変わらず、ただし書きで「首相が指定のできない省庁を別に政令で定めることができる」とするにとどまった。

 これでは首相が秘密指定できない省庁を決めない限り、特定秘密を全省庁が持てる仕組みに変わりがない。5年間秘密を保有しなかった省庁が指定権限を失うとの修正に対しても、みんな幹部は「役所は権限を失いたくないから指定するのでは」と述べ、逆に省庁が秘密指定・保有の「ノルマ」を抱える可能性を指摘した。

 前日に合意した第三者機関の設置も、政府任せとなって放置されかねない。維新実務者は「与党が維新の案を丸のみした」と強調したが、実態はほど遠い。

 日本維新の会は与党との修正合意を受け、22日に臨時総務会で方針を決定する。ただ、党内には合意に対する異論が根強く、紛糾する可能性が残る。

 維新幹部は「修正合意」の一報に「あんな法案に乗ってはダメだ。まだ党の決定ではない」と強調。「このまま乗れば批判されるのは目に見えている。若手中心に不満が強い。党内は荒れるだろう」との見通しを示した。

 維新内では特定秘密保護法案への対応を巡り賛否が割れる。与党との合意に前のめりな筆頭格が、修正協議の実務者で自民党出身の藤井孝男・国会議員団総務会長。藤井氏と同じく旧太陽の党系議員の一人は「マスコミなんてほうっておけばいい。法案は必要なんだから賛成しておけばいい」と漏らしていた。

 これに対し、民主党出身の松野頼久・国会議員団幹事長ら野党再編を視野に入れる議員は合意に慎重な姿勢を示す。みんなの党出身で、修正協議の実務者の桜内文城・国会議員団政調会長代理も慎重な姿勢を保っていた一人だ。

 さらに橋下徹共同代表も法案に対し否定的な発言を繰り返していた。橋下氏に近い維新幹部は「橋下氏は与党と握ってはまずいと警鐘を鳴らしている」と指摘する。【阿部亮介】

最終更新:11月21日(木)6時4分

毎日新聞

 
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