間 黒助です。
先程コレステロールについて書きましたが、
またその続きを書いていきたいと思います。
まず、
皆さんはコレステロールについてどんなことをご存知でしょうか。
多分ドロドロしていて、
それが体内にあると悪いことをする。
だから脂がたっぷりついたステーキや揚げ物は食べない方がいい、
といったイメージを持つ人が大半ではないでしょうか。
テレビや雑誌を見ていても、
「コレステロール値が高いと不健康」
とか、
「数値を下げないと動脈硬化になる」
といった表現をよく見掛けます。
グルメ番組では、
「コレステロールが無いし、色々な野菜がたくさん食べられてヘルシー」
と出演者が喜んでいます。
コレステロールを悪いものと決めつけ、
それを多く含む卵やマヨネーズを目の敵にしています。
しかし全て大間違いです。
卵がコレステレロールの代表のように言われるようになったのは約90年前です。
1913年のロシアでの実験が切っ掛けでした。
コレステロールが人体に与える影響を調べるために、
栄養価の高いタマゴを草食動物のウサギに食べさせて実験をしました。
その結果、
動脈硬化の元といわれる血中コレステロールが増加し、
タマゴ = コレステロールの印象が生まれてしまったのです。
これが誤解の始まりです。
考えれば誰でも分かる話ですが、
ウサギは草食動物なので、
動物性の脂肪を含む卵を食べさせれば、
コレステロールが増加するのは当たり前のことです。
体が受け入れられる筈がありません。
しかし人間は雑食性なので、
動物性の食品もたくさん食べますが、
常にコレステロールが増えるということにはなりません。
日本でも1981年に、
人体とコレステロールに関する興味深い研究結果が発表になりました。
健康な成人に1日5~10個の卵を連続して食べさせるという実験です。
その結果、
1日に10個ずつ食べた人でも、
血中コレステロールの値はほとんど変化しないことが分かりました。
また最近の実験でも、
普段の食事以外に1日に卵を3個ずつ、
しかも2週間食べ続けてもらった結果、
コレステロール値を測ってみると、
ほとんど変化はありませんでした。
こうしたいくつかの実験でも分かるように、
卵や他の食品からコレステロールを多く摂っても、
必ずしもコレステロールが増加するとは限らないのです。
健康診断を受けると、
報告書に、
『 善玉コレステロール(HDL コレステロール/HDL-C) 』
と、
『 悪玉コレステロール(LDL コレステロール/LSL-C 』
という項目があります。
以前は、
『 総コレステロール 』
の項目もあったのですが、
特定健診の導入と共に外されました。
この分け方も誤解を招く要因になったと言えるでしょう。
どうしてかと言うと、
コレステロールは1つの物質で、
善玉も悪玉もないからです。
あえて分けているのは、
それぞれの役割が異なるからなのですが、
だからといって違う名前、
しかも “ 悪玉 ” などという言葉を使った点に、
“ コレステロール = 悪 ”
という間違った情報を人々に植え込もうとする意図さえ感じます。
善玉と悪玉の違いは、
善玉コレステロール : 血管から肝臓に戻るコレステロール
悪玉コレステロール : 肝臓から血管に行くコレステロール
これだけです。
簡単に言えば、
肝臓行きの船(HDL)に乗ったものが善玉コレステロールで、
血管行きの船(LDL)に乗ったものが悪玉コレステロールです。
乗り込んだ船の行き先が違うだけで、
全く同じ1つの物質です。
「コレステロールは虚血性心疾患(動脈硬化や心筋梗塞、狭心症など)の原因」
という考えが前提だったので、
コレステロールを合成する肝臓から血管に行く方のコレステロールを、
“ 悪玉 ” という名前にしたのでしょうが、
これが、
多くの人達がコレステロールに対する偏見を持つ結果になったのではないでしょうか。
また、
皆さんがドロドロしたイメージを持つコレステロールは、
ドロドロした物質ではなく、
実はアルコールの仲間で、
ドロドロした物質というイメージからは全く掛け離れた間違いです。
多くのコレステロールの問題は、
コレステロールが多いのが原因ではなく、
それをコントロールする機能の低下(老化など)によるものです。
この機能が低下すると必要以上に血管に付着し、
それが酸化されたりして動脈硬化の原因となったりします。
『 HDL 』、『 LDL 』 の両方とも体に必ず必要な重要な物質です。
悪玉と言われる 『 LDL 』 は、
肝臓から体内で必要とする箇所にコレステロールを運ぶときの姿で、
善玉と言われる 『 HDL 』 は、
各細胞から余ったコレステロールを再び肝臓に戻し、
『 LDL 』 として再利用できるようにしているときの姿です。
『 コレステロールの働き 』