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自・民・共から反対の声 府市「都構想」法定協

2013年11月20日

 大阪市を特別区に分割し、大阪府と統合、再編する「大阪都構想」。大阪維新の会代表の橋下徹・大阪市長は、2015年の「大阪都」への移行を目指すが、15日に開かれた都構想の制度設計を担う法定協議会では自民、民主系、共産の3会派から都構想反対の声が上がった。法定協でまとめる「協定書」の議決には府市議会で過半数の賛成が必要で、市議会での過半数獲得の鍵は公明が握る。

9回目を迎えた法定協議会。自民、民主系、共産からは都構想への批判が相次いだ=15日、大阪府庁

 「二重行政解消に動きだしていることで、知事と市長が連携すれば大阪都構想は必要ないとの指摘は大間違い。松井(一郎)知事、橋下市長は府庁、市役所の利害を離れて大阪全体の最適化の観点から意思決定している。恒久的なものにするには、制度改革が必要」

 15日に府庁で開かれた法定協。都構想を推進する立場の大阪維新の会の横倉廉幸府議は、力を込めた。

 都構想をめぐっては、現行の大阪市内24区について、1区当たりの人口を30〜45万人とし、5区または7区の特別区に分割する計4案が示されている。維新側では15年4月の大阪都への移行に向け、特別区の区割りなどを盛り込んだ「協定書」をまとめ、府市議会で関連議案を承認し、14年秋には大阪市民による住民投票で過半数の獲得を目指す。

■進まぬ議論

 2011年の府市統合本部設置にあたり松井知事は、都構想による二重行政解消の効果額として年間4千億円の経費削減を目指すとした。しかし今年8月の制度設計案では効果は年間700億円程度と試算され、10月にはコスト削減の見通し額が、90億円程度過大だった可能性があることが分かった。

 自民の花谷充愉府議は「4千億円の効果が期待できないことが明らかになった」と言及。民主系の長尾秀樹市議は「広域行政の一元化をしたからといって、無駄がなくなる保証はない」と指摘。共産の山中智子市議も約700億円としている都構想の効果額について「民営化や経費削減などを除くと、9億4千万円にすぎない」と切り捨てた。

 今年2月の初会合から9回目を迎えても、法定協では自民、民主系、共産の3会派からの議論は都構想の「是非論」に終始。協議会の会長を務める大阪維新の会政調会長の浅田均府議は「われわれに与えられているのは、協定書の中に(区割りや事務分担など)八つの項目を書くことだけ。特別区不要という議論は終わっている」と発言する一幕も。

■公明と協議

 法定協でまとめる協定書の議決には、府議会と市議会の過半数の賛成が必要。市議会(定数86)では大阪維新の会(32人)は過半数に満たないため、第2会派の公明(19人)の協力は欠かせない。

 次回の法定協は12月6日を予定。特別区の財政シミュレーションの提示が確認され、区割り案についても一定の方向性が示される模様だ。

 橋下市長はこれまでに区割り案絞り込みのスケジュールについて「公明党としっかり協議する」と述べ、「ゴールを設定し、スケジュールを立てる」と15年4月の大阪都への移行にこだわる。