趣味

NHK杯予選に挑戦し続ける73歳、加藤一二三九段


2013.11.19

NHK杯60周年記念特番での加藤一二三九段。撮影:河井邦彦

世は情報化時代である。プロの対局は新聞や雑誌の観戦記だけではなく、NHKを中心とするテレビ中継やネット中継、携帯中継でがんがん世に伝わる。タイトル戦などの結果と棋譜は瞬時に全世界に伝わる時代がやってきた。

 

だが、そんな時代にあっても、世に出ぬ将棋というのはあるものだ。例えば、NHK杯予選、奨励会の対局、将棋まつりなどのイベント対局など。そんなところにも埋もれた名局は数多くある。

 

本誌をお読みの方ならご存じのように、現在のNHK杯戦には予選がある。第63回の例でいえば、30数名が本戦にシードされるが、それ以外の棋士は本戦出場を目指して予選に出場することになる。予選から本戦への出場枠はわずか18で出場棋士は130人。単純計算で約7人に1人しか通れないという狭き門である。予選は1日のトーナメント制で行われ、出場棋士は1日3勝(一部のシード棋士は2勝)しないと予選を通れない。

 

本戦にシードされるのはB級1組以上の棋士やタイトルホルダー、棋戦優勝者など。それ以外の棋士はたとえ加藤一二三九段のように優勝7回の実績を持つ大棋士でも予選から出場しなくてはならないのだ。NHK杯戦ではいまや神様のような存在になった羽生善治三冠も、かつて四段になりたての時に一度だけ予選に出たことがある。NHKテレビで全国中継されるためには、とにかく本戦に出なければならないし、みんな本戦に出るために必死だ。みんな「テレビに出たい」と思って予選を戦う。いってみれば、NHK杯予選は大ベテランや新鋭棋士がガチで戦う鬼勝負の場なのである

 

加藤九段の挑戦

 

かつて秒読みの神様と呼ばれ、NHK杯ではおなじみの存在だった加藤九段も2005年から予選に出場している。NHKで加藤さんの対局が見られないのはさみしいと思っている視聴者の方も多いと思うが、そうした方々には声を大にしていいたい。加藤九段はお元気に予選に挑戦しているんですよと。

 

加藤九段はこの9年間のNHK杯予選で7勝を上げている。1日3勝の壁は厚く、まだ予選通過は果していないが、2010年に70歳になったベテランがほとんど若手相手の早指し戦で7勝もしていることは大変なことだと思う。(構成:鈴木宏彦)

 

※『NHK将棋講座 2013年11月号』では、2009年に行われたNHK杯予選での及川拓馬四段(現五段)との一戦を、「隠れた名局」として棋譜も合わせて詳しく掲載しています。

 

■『NHK将棋講座』2013年11月号より

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