前回は、Windows XPがどのような位置付けのOSだったかについて歴史を含めて説明した。今回は、企業においてWindows XPからどのように移行していくのかを考えていきたい。
Windows XPから新しいOSへの移行を果たす前に、まず現在のIT環境がどのようになっているかをキチンと把握する必要がある。大企業ではPCのハードウェアをリースやレンタルなどによって使用しているため、どのようなデスクトップPCやノートPCなどが導入されているかという資産管理(アセット マネージメント)が適切に行われている。
ただ、大企業であっても100%適切に資産管理が行われているわけではない。部門や部署で必要に応じて購入されたPCなど、誰が管理しているのか不明ないわゆる「野良PC」も存在する。IT部門の力が弱い中小企業などは、社内にどんなPCが存在するのかを全く把握できていないことも多い。
もう一つ問題なのはソフトウェアだ。IT管理が行き届いている企業では、PCにインストールされているソフトウェアがライセンス問題やセキュリティの面から制限されている。個人が利用するPCを考えれば、個人が勝手にソフトウェアをインストールして、自分が使いやすいようにカスタマイズしているケースは多い。セキュリティ面を考えると、ユーザーが勝手にソフトウェアをインストールするという環境は、大きな問題になってくるだろう。しかし、PCにインストールされるソフトウェアを制限し、会社が決めた標準的なソフトウェアしか使えないようにすると、あまりにもIT管理が強化されてしまい、ユーザーにとっては使いにくいものになる。
このようにIT管理が強くなりすぎると、ユーザーがPCを使いにくいと感じるようになり、IT部門への風当たりが強くなる。あまりに制限しすぎると、かえって部門や個人がIT管理の範疇外となるPCを使うようになり、ソフトウェアのライセンスやセキュリティ面から大きな問題となってしまう
最近では個人が購入したPCを企業で利用する「BYOD(Bring Your Own Device=私物デバイス活用)」などが普及してきているため、会社が100%管理できるデバイス(PC、タブレット)ばかりでは無くなっている。
IT部門としては、社内のIT環境をキチンと把握しておくことが必要だ。社内LANに接続されているPCをチェックしたり、インストールされているソフトウェアをチェックしたりする資産管理を行うためのソフトウェアも発売されている。このような管理ソフトを利用すれば、クライアントデバイスの管理はやりやすくなるだろう。管理ソフトによっては、会社が認めたソフトウェア以外はPCにインストールできなくなるような機能も用意されている。
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