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一票の格差―司法の役割はどこへ

国会は、国民の意思を正しく反映して選ばれた機関でなければならない。有権者一人ひとりの票の重みに開きがあれば、国会はまっとうな代表とはいえない。それ[記事全文]

一票の格差―「違憲の府」の異様さ

最高裁の判断が「違憲状態」にとどまったからといって、一票の格差是正への取り組みを緩めていいとはならない。衆院の存立基盤に、最高裁から疑義が突きつけられたことに変わりはな[記事全文]

一票の格差―司法の役割はどこへ

 国会は、国民の意思を正しく反映して選ばれた機関でなければならない。

 有権者一人ひとりの票の重みに開きがあれば、国会はまっとうな代表とはいえない。

 それが「一票の格差」の問題だ。憲法が定める法の下の平等が問われる重大事である。

 国会は長らく、その問題を放置してきた。その怠慢をただせるのはもはや司法しかない。

 だが、最高裁はきのうの判決で、その役割を避けた。2年前に出した「違憲状態」にとどめる判断を繰り返した。

 前回の判決から1年9カ月後の昨年12月、同じ区割りのまま衆院選を迎えた国会の責任は重い。最高裁は一歩踏み出して、「違憲」と断じるべきだった。

 高裁では、16の判決のうち14が違憲と判断し、うち二つは選挙の無効にも踏み込んでいた。

 国会の動きの鈍さと、最高裁の違憲審査権に対する軽視を次々に指摘した高裁の判決は、的外れとは到底いえない。それが最高裁で大きく逆行した。

 問題になったのは、議席をまず都道府県に一つずつ割り振る「1人別枠方式」だ。最高裁は前回の判決で、これが格差の主因だとして廃止を求めた。

 だが、その後に国会が決めた定数の「0増5減」には、1人別枠が残ったままだ。

 不可解なのは、最高裁が今回の判決で、1人別枠の問題は解決されていないとしつつ、そんな国会を許容したことだ。寛容すぎると言わざるをえない。

 「0増5減」後でも、実際の格差は2倍を超えているとされる。最高裁が、国会の合意づくりの難しさなどに理解を示したことは、「お墨付き」を与えたものとも受けとられかねない。

 判決は司法の限界にも言及している。選挙制度の問題を指摘しても最高裁は代替案を考える立場になく、是正には国会が広い裁量権をもつ、とした。

 立法府をチェックする役割をみずから限定するかのような判断であり、それを言い出せば、最高裁に違憲審査権が与えられている意味がない。

 そもそも問われているのは、国民の正しい代表といえるかどうかだ。その国会に広い裁量権を当然に認めるべきだろうか。

 まして選挙制度は、自分たちが当選したシステムを大きく変えたくない国会議員と、公平な制度を求める国民との利益が、直接対立する問題だ。

 このような局面では、司法がふだんより前に出て、ものを言う必要がある。でなければ、三権分立がうまく機能せず、司法への信頼は揺らいでしまう。

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一票の格差―「違憲の府」の異様さ

 最高裁の判断が「違憲状態」にとどまったからといって、一票の格差是正への取り組みを緩めていいとはならない。

 衆院の存立基盤に、最高裁から疑義が突きつけられたことに変わりはないからだ。

 一票の格差について、自民党内にはこんな声がある。「有権者には、一票の格差によって権利をないがしろにされているという議論はほとんどない」

 だが少し想像力を働かせてみよう。仮に衆院の480人の議員のなかに1票を持つ議員と0・5票しか持たない議員がいたらどうか。その不平等や理不尽さはだれの目にも明らかだ。

 選挙区割りには行政区画などさまざまな条件を勘案しなければならないとしても、国会が1人1票の原則に限りなく近づける努力をするのは当然だ。

 野田前首相が「身を切る改革」として定数削減の確約と引き換えに衆院解散を表明してから、すでに1年が過ぎた。

 安倍首相のもとで消費税率の引き上げは決まったが、6月に終わった通常国会までにと自ら期限を切った定数削減と選挙制度の抜本見直しについての検討は、進んでいない。

 首相と野党第1党の党首が国民注視のなか交わした約束が反故(ほご)にされている。これでどうして政治を信頼せよというのか。

 新区割りでも、最新の住民基本台帳に基づけば、すでに格差が2倍を超える選挙区がある。

 最高裁が廃止を求めた「1人別枠方式」を実質的に温存したまま、定数の微調整でお茶を濁すのはもはや限界だ。

 最高裁は、構造的な問題が解決されているとはいえないと指摘した。国会は抜本改革から逃れられないところに来ている。

 「違憲の府」とされた以上、本来は衆院を解散するのが筋だ。が、いま選挙をしても、違憲訴訟の繰り返しになるだけだ。改革を急がねばならない。自らできないのなら潔く第三者の手に委ねるべきだ。

 7月の参院選でねじれが解消し、自民党の1強状態となった国会は暴走気味だ。

 婚外子の相続差別に対する最高裁の違憲判断に、自民党からは異論が噴出。表現の自由を侵しかねない特定秘密保護法案の審議が進み、首相は集団的自衛権の行使を解釈改憲によって認めようとしている。

 違憲状態の選挙によって選ばれた議員が、憲法をないがしろにする議論を公然と繰り広げる。異様な事態だ。

 このうえ格差是正を放置するというなら、法の支配の根幹が崩れる。

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