(英エコノミスト誌 2013年11月16日号)
大手デベロッパーや国営新聞までもが不動産バブルに対する不安を漏らし始めた。
中国では、不動産価格の上昇は永遠に続き得る。少なくとも楽観主義者はそう考えているようだ。彼らは、中国では史上最大の都市化が進んでいると指摘する。田舎からの移住者の大群は皆、住む家が必要だというのが彼らの主張だ。
膨れ上がる中国の中間層の多くが1980年代に建てられた安普請の住宅で暮らしており、彼らもまたもっと豪華なマンションやマクマンション(大衆向けの大邸宅)への転居を熱望している。
その結果が、過去10年の驚異的な不動産ブームだった。
一見したところ、好況期はまだ続いているように見える(図参照)。今年に入ってから第3四半期までの住宅販売は、前年同期比で35%増加している。
新築住宅の価格は9月に、全国の主要70都市のうち69都市で前年同月比で上昇した。上海、深セン、北京では、住宅価格が2割以上跳ね上がった。南京や厦門(アモイ)など、それより若干小さな都市では、15%前後上昇した。
カネを追え
こうした活力の兆候にもかかわらず、中国最大クラスの不動産王数人は不安を募らせているように見える。
住宅販売件数で中国最大の不動産会社である万科企業(チャイナ・バンカ)の王石会長は、同市場をバブルと呼んだ。中国一の富豪で、不動産大手からエンターテインメント企業に転換している大連万達集団(ワンダ・グループ)の王健林会長は、「制御可能」と考えながらも、中国の一部地域が不動産バブルを経験していると認めている。
長年、中国に強気だった香港の大富豪、李嘉誠氏は、本土に保有している物件を売却し始めた。
問題は、住宅の評価額が最も高い豊かな都市ではない。実際、そうした市場では、価格がまだ上昇する可能性がある。中国全土の人々が上海と北京で知名度の高いマンションを買っているため、両市場はマンハッタンやロンドン中心部と同等の回復力を持つ。
実のところ、投機抑制を目的とする政策は、これら大都市での不動産需要を人為的に抑えている可能性もある。