石川のニュース 【11月20日02時59分更新】

除雪機操作員が減少 石川県建設業協

積雪時の交通確保に欠かせない除雪車。維持コスト削減のため、手放す業者が増えている=今年1月、白山市下吉野
 石川県内で除雪機械のオペレーター(操作員)の数が、10年前と比べて約150人減 少していることが、19日までに分かった。高齢化で引退するベテランが増える一方、建 設不況のあおりで若手の人材確保や技術継承が進んでいない。降雪シーズン本番を前に、 業者からは「ドカ雪が降れば、人繰りがつかなくなる」と不安の声も聞かれる。

 県建設業協会が9〜10月、会員145社に除雪対応についてアンケートを実施したと ころ、除雪機械の操作員は10年前の1288人から1140人に減少した。高齢化が進 む半面、若い世代の就労者がおらず、5年後にはさらに約50人減る見通しである。

 「公共事業が減り、将来性がない業界だと思われている。若い人が入ってこない」。津 幡町の建設業者は頭を抱える。志賀町の業者によると、冬場の作業は寒さが厳しく、若者 を雇っても「耐えきれずに辞めてしまう」という。七尾市にある田村工業の田村行利社長 (52)=七尾鹿島建設業協会長=は「業界は疲弊しており、人を雇ったり、育てたりす る余裕がない」と明かす。

 若手不足を補おうと、一部の建設業者はベテランの活用で急場をしのぐ。小中出建設( 加賀市)は除雪機械を操作できる人材の定年を延長したり、冬季限定で雇用したりするこ とを検討している。

 行政も人材育成を支援してはいるが、減少傾向に歯止めをかけるのは難しい。県が毎年 冬に実施する講習会はここ3年間、参加者が横ばいで、小松市では操作技能の研修費用を 補助する制度を設けたが、利用率は低い。

 除雪機械の減少も懸念されている。長く続いた建設不況で経営が圧迫される中、維持コ ストを削減するため、機械を手放す業者は少なくない。

 県建設業協会によると、今年9月現在の台数は292台で10年前とほぼ同水準だが、 5年後には268台と8%減少する見通しだ。

 能登町の業者は「老朽化しても買い替えるのは難しい。除雪をやめる会社はもっと増え るかもしれない」と話した。一方、珠洲市の業者は「除雪機は他の作業に使わないため維 持費はかかるが、地域のためと思って保有している」としている。


石川のニュース