「死神って言えば、槍とか持って、尻尾が矢印みたいになっているやつだろ?」
僕が、死神の小説を書いていると聞いた後で、友人は、そう言った(同時に、どうせ、いつものように都合のいい話なんだろう、とも言った)。
それはどちらかと言えば、虫歯菌ではないか、と思わないでもなかったけれど(都合の悪い話よりは都合のいい話のほうがいいじゃないか、と思わないでもなかったけれど)、とにかく、僕の死神にそういうイメージを重ねられると嫌だなあ、とは感じて、だから、
「各短編ごとに写真をつけてもいいですか?」と編集者に打診をした。
短編の内容に合致した写真があれば、読んでいる人も、その世界が現実に近いものだ、と錯覚するかもしれないし、そうすれば、死神についても現実的なものだと思ってくれるのではないか(都合の良さから目を逸らすことができるのではないか)、と期待をしたのだ。
編集者はすぐに、「問題ないよ」と応じてくれて、その結果、写真を探すことになったのだけれど、その時すでに、藤里さんの写真を使わせてもらおう、と僕は考えてもいた。 |