コラム:コモディティと株の逆相関化が示す経済正常化
By Kevin Allison
[ロンドン 4日 ロイター] - コモディティ市場は、経済が正常化の様相を帯びていることをあらためて発見しつつある。ずっと続いてきたコモディティと株式の順相関が崩れてきたのだ。コモディティ各種の間でも値動きはばらついている。
こうした傾向が続けば、取引を動かす要因として長年の危機モードに代わってなじみ深い需給関係が再び台頭してきたことがうかがえよう。
2008年の金融危機以前は、コモディティ価格と株価は互いに独立して動いていた。それゆえに各コモディティは、株安やインフレに対するヘッジ手段として有効だった。
ところが危機以降、超低金利や非伝統的な債券買い入れといった緊急的な政策手段が資産価格全般を押し上げる中で、コモディティと株式は歩調を合わせて高下し始めた。ユーロ圏危機によってリスクオンとリスクオフの取引が反復され、投資家はコモディティと株を区別して取り扱う暇もなかった。
こうした強固な順相関がほころびを見せ始めている。トムソン・ロイター/ジェフリーズCRB指数とMSCI世界株価指数の相関係数は08年終盤からプラスの領域を維持していたが、今年になってはっきりとマイナスに転じた。
バークレイズ・インベストメント・バンクによると、各コモディティ間の相関係数のプラス幅も2010年終盤の水準に比べると約半分になっている。原油は供給途絶やシリアへの軍事攻撃への懸念から今年は価格が押し上げられている一方で、銅やアルミニウムといった主要工業用金属は値下がりしている。
相関関係の変化は、金価格の急反落にある程度は起因する。この急落は、米連邦準備理事会(FRB)が早期に資産買い入れ(量的緩和)を縮小するだろうとの観測がもたらした。また中国の需要が引き起こした異常なコモディティの需給ひっ迫も和らいだ。それは中国の成長見通しが低下しているからであり、鉱山会社が何年も続いた金属価格上昇を受けて新規供給に向けた投資を行ったからでもある。 続く...
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