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【社説】

学力テスト公表 子どもが追い込まれる

 小六と中三を対象とした全国学力テストの学校別の成績が一斉に公表されるおそれが出てきた。文部科学省は前向きのようだが、点取り競争に陥らないか。子どもをこれ以上追い込んではならない。

 学力テストは六年前、ゆとり教育が学力低下を招いたといった批判を背景にはじまった。学校での取り組みの課題を探り、先生の授業や子どもの勉強に役立てる。それが大きな目的だ。

 とはいえ、学校や地域の順位争いが心配された。だからこそ、文科省は学校の自主公表を除き、教育委員会による学校別の成績の公表を禁じてきた。

 しかし、次からのテスト結果の取り扱いを検討している文科省の専門家会議は、公表解禁へとかじを切りつつあるように映る。近く結論が出るが、気がかりだ。

 そのよりどころは、知事や市町村長、教委、学校、保護者へのアンケートのようだ。知事、都道府県教委、保護者のそれぞれ四割以上が事実上、学校別の成績の公表に賛成だったからだ。

 教育行政の担い手としての説明責任を理由に挙げる声が目立って多かった。わが子の通う学校の位置づけを知りたいと思う保護者の心情にもうなずける。

 けれども、現場の意思を尊重して民主的に議論する限り、方針転換は考えられない。なぜなら市町村教委と学校のそれぞれ八割近く、市町村長の六割以上、保護者の五割以上は反対だったからだ。

 子どもに近い立場の人ほど学校や地域の序列化や、テスト偏重の授業の横行を憂慮している。かつての学力テストでは障害児を休ませたり、先生が答えをほのめかしたりと不正が相次いだと聞く。教育がゆがみ、地域がすさんだ。

 大学入試改革をめぐり政府の教育再生実行会議は、人物本位の評価への転換を提言したばかりだ。ペーパー試験では一面的な能力しか測れないからだ。学力テストの点にこだわる発想は矛盾する。

 かねて国連子どもの権利委員会は、日本の教育のありように警鐘を鳴らしている。すなわち、高度に競争的な学校環境が、子どものいじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があるというのだ。

 政治家の人気取りに利用されがちなテストは廃止し、こうした問題の解決を図ることこそが生きる力の底上げにつながるだろう。全国のトップからビリまで子どもが順位づけされる事態になれば、問題がさらに深刻化しかねない。

 

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