滋賀県が18日に公表した、福井県内の原発事故による琵琶湖(滋賀県)の放射性物質汚染のシミュレーション。最悪の場合1週間、国の飲料水の摂取制限基準を超えるおそれがあるという。琵琶湖の下流の淀川の水に依存する府内にも大きな影響を及ぼすことになる。

 大阪市以外の府内42市町村が参加する大阪広域水道企業団は年間6億3千万立方メートルの水を淀川から取水している。これを各市町村の浄水場などに運び、市町村は主にその先の家庭までの配水を請け負う。

 企業団は、厚生労働省のガイドラインに従って「水安全計画」を定め、浄水場での安全性のチェックポイントを決めている。汚染が確認されれば、浄水場で粉末活性炭での処理などを強化し、放射性物質濃度を下げる努力をするという。

 1リットル中のヨウ素やセシウムの値が国の指標を超えた場合「飲料に適さない」として、各市町村を通じて「水はトイレなどに使い、飲まないように」と呼びかける。ただ、濃度の明確な基準を持たず、濃度が上がっても「川からの取水をやめる」と決断する基準はない。今後、数値などの基準を決める予定もないという。

 一方、川の取水から家庭への配水までを一手に請け負う大阪市は、年間約5億トンの水を淀川からとっている。セシウムやヨウ素といった放射性物質の調査は週1回行い、放射性物質の濃度が高まれば、沈殿前に微量の塩素を入れる「弱前塩素処理」などを施すという。

 大阪市は東日本大震災を受け、水道局のマニュアルを改善。ヨウ素やセシウムの濃度でレベル0~4まで5段階の対応ができるように設定した。レベル4は、浄水1リットルあたりのヨウ素が100ベクレル、セシウムが10ベクレルの状態。レベル2以上で「災害対策本部水道部」を必ず設置し、取水停止や給水停止の判断をする。

 同市は東京都や名古屋市などと「21大都市災害時相互応援に関する協定」を交わしており、互いに飲料水の供給や施設の応急普及に必要な資材の提供をする。しかし、通常の淀川からの取水量には足りず、「本当に川から水をとれなくなったら不安だ」と担当者は話す。