原子力規制委員会は20日、東京電力福島第1原子力発電所事故で避難した住民の帰還に向け、個人ごとの放射線量の実測値を安全性の目安とすることを正式決定した。これまで基準としてきた空間線量は実際に浴びた放射線量より過大な推計値で、今後はより正確性の高い個人線量を使う。同じ放射線量でも数値は最大で7分の1程度に下がる見通しで、事実上の基準緩和となる。これを受けて政府は来春にも一部地域で避難指示の解除を目指す。
政府は個人線量で一人一人の被曝(ひばく)量を正確につかみ、きめ細やかな健康対策につなげる。規制委の田中俊一委員長は同日の会合で「空間線量と実際の被曝線量は違う。健康に影響する個人線量を測ることは絶対に必要なことだ」と述べた。
除染作業が進展した福島県田村市が避難指示解除の第1号となる見通し。政府は円滑な帰還を実現するため、年内に帰還支援策をまとめる。住民に個人線量を計測する線量計を配布したり、健康管理策を助言する相談員を地域ごとに置いたりすることが柱となる。地域ごとにどうやって帰還を支援していくかの行程表もつくる。
今回の決定の最大のポイントは、民主党政権時代に決めた追加被曝量の目標「年1ミリシーベルト」の扱いだ。地元では「1ミリシーベルトを超えれば危険」との見方が広がり、早期帰還や復興の足かせとなっていた。規制委は「1ミリシーベルトは安全と危険の境界ではない」としたうえで、空間線量ではなく個人線量計で測った実測値に基づくという見解を政府として初めて明示した。
ヘリコプターや放射線監視装置(モニタリングポスト)などで測った空間線量をもとに被曝線量を推定する場合、屋外に長くとどまったりするなどの仮定を置くため、線量が実測値の3倍から7倍程度と高めに出ていたとされる。
規制委は同時に1ミリシーベルトの目標は長期で達成することも明確化。除染だけでなく、健康診断や食事管理などの対策を組み合わせて数十年かけて実現する。避難指示解除の必須条件として被曝量が「20ミリシーベルト以下」になることも改めて確認した。
個人線量で正確な放射線量が把握できれば、政府は低線量地域の除染を控えるとみられ、最大で5兆円に達すると試算されている除染費用の圧縮につながりそうだ。一方、住民の一部からは実質的な基準緩和に反発する声が出る恐れもある。政府は健康対策などを地元で説明し、理解を得る方針だ。
住民の帰還に向けた放射線防護策は、3月の原子力災害対策本部会議の席上で根本匠復興相が原子力規制委の田中委員長に検討を依頼。規制委は9月から専門家の検討チームをつくって議論を進め、今月11日の会合で報告書案を示していた。
福島第1原発事故で避難指示が出された福島県内の11市町村のうち、政府は田村市で11月1日に避難指示を初めて解除することを目指していた。ただ、線量が1ミリシーベルトまで下がっていないことを理由に住民の反発が根強く、避難指示の解除を先送りしていた。
田中俊一、福島第1原子力発電所、原子力規制委員会、東京電力、根本匠
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