米TPA取得 不透明 民主党議員7割が反対
(2013/11/19)
TPP交渉妥結を左右する米政府の大統領貿易促進権限(TPA)取得が厳しい情勢となってきた。TPAは、議会が持つ貿易交渉権限を政府に一任し、交渉しやすくする仕組み。TPAがなければ、政府間合意後の議会審議で修正を求められ、再交渉させられる可能性がある。下院では、オバマ大統領のお膝元である民主党議員の7割を超える151人がTPAに反対する。こうした議会の動きは、米政府が農産品などで要求を強める一因となっている。
TPAに反対する民主党議員は13日、オバマ大統領に宛てた書簡で「幅広い政策課題に関わるため、議会からの意見提供が欠かせない」とし、議会が交渉の個別課題に関与できなくなることを問題視。同党内には雇用を奪うなどの理由でTPPそのものに反対する議員もいる。
基本的に貿易推進の立場の共和党議員も12日、23人が反対書簡を提出し、TPAの行方は不透明だ。
こうした動きに、米政府はTPPが自国の利益につながることをアピールし議会の理解を取り付けようと必死だ。日本に農産品や自動車の市場開放を強く要求しているのは、TPA取得に向けた米政府の焦りも影響しているとみられる。
ただ、TPA法案成立の見通しが立てば米国が農産品の関税撤廃要求を弱めるとも考えにくい。来年11月の中間選挙に向け、農業関係者向けにアピールできる成果を勝ち取るため、高い自由化を求めている可能性もある。米国の要求の本当の狙いを慎重に見極める必要がある。
TPAは、条約を議会で審議する際に一括で賛否を問うもので、議会は合意内容を修正できない。2007年に失効したTPAを政府が再び取得するには、議会でTPA法案を成立させる必要がある。