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  • はじめに

  • このブログは慶應義塾大学SFC松原研究室で行っている研究会の内容を中心に紹介しています。主な内容はTAやSA(大学院生や学部生による授業補助員)によってアップされておりますが、最終的な管理責任は松原弘典本人にあります。2013年度は環境情報学部学士課程の
    中岡詩保子さん/
    t10630sn(at)sfc.keio.ac.jp
    鈴木葉月さん/
    t10482hs(at)sfc.keio.ac.jp
    梶原慧太さん/
    t10229kk(at)sfc.keio.ac.jp
    を中心に運営されています。授業に参加する学生のための連絡場所であり、sfcに進学を考えている方々への研究室からの情報発信の場所でもあり、広く建築や都市に対して興味のある方にも開かれている場所にしたいと思っています。よろしくお願いします。


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    松原弘典研究室
    郵便番号252-0882
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    tel: 0466-47-5111(代表)
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    mail: mat(at)sfc.keio.ac.jp

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2013年11月18日

『SFC OPEN RESEARCH FORUM 2013』出展のお知らせ

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11月22日(金)・23日(土)にSFCの各研究プロジェクトの合同発表会である「SFC Open Research Forum」が開催されます。今年のテーマは、 "創のbazzar"です。

開催場所:東京ミッドタウン ホール&カンファレンス

開場時間:10:00〜19:30(23日は18:00閉場)

※入場無料・登録不要です。

SFC Open Research Forum、通称ORFとは、SFCにおけるあらゆる研究分野がその成果を発表する場です。ブース展示とセッションがあり、直接研究している学生・教員に話を聞いたり、多様な成果物に触れることができます。

今年のテーマは、 "創のbazzar"です。SFCを体現する言葉の一つ「創」という字には、創造、創発、創意、創見など、はじめる、つくるという意味があります。常に新結合がもたらされ、新しい知、価値が生まれいずる処であるSFCの姿をご覧いただけます。


松原研究室は「鹿児島県屋久島町口永良部島における離島活性化恊働プロジェクト」と「コンゴ民主共和国アカデックス小学校プロジェクト」の2つを展示します。両プロジェクトともに長谷部研と合同でブースの出展を行い、学生たちの案内とともに模型や写真、図面などの成果物をご覧いただけます。

また、両プロジェクトとも展示に加えて、セッションを行います。日程は以下のとおりです。

■11月23日(場所:カンファレンス4F room5)
□10:00~11:30
「鹿児島県屋久島町口永良部島における離島活性化恊働プロジェクト」


ビニールハウスの宿泊施設設置、高校生の島生活からの学習内容の成果物を作成し、島の皆さんに向けて報告会を実施しました。「離島の魅力化」が謳われる昨今、口永良部島は「魅力化」ではなく、現在の島の魅力をわかりやすく「発信」することが急務だと思われます。 今回は口永良部島の島民、島内外の関係者、大学生・高校生・中学生が共に、一個人の立場から「島の魅力・課題・将来・そ れぞれの役割」を語り、島そのものについて共に考える、そんなコミュニケーションが創発する場にしたいと考えています。

■11月23日(場所:地下1階ホール openB)
□15:45-17:15
「コンゴ民主共和国アカデックス小学校プロジェクト」

今年の ORF でのセッションでは「学校が学校をつくる活動のなかの教育・建築・医療とは」というテーマで、報告者とゲストが議論をする予定です。ベデロ教員には実際に小学校を運営している側から、SFC の学生の活動の 見え方や、その児童への影響について、長谷部教員にはチョークや黒板づくり、日本語教育 を実施した経験からこのプロジェクトにおける「教育」のあり方を、藤屋教員には児童への健康診断と保健指導、 家庭訪問を通じた「医療」のあり方、司会の松原先生からはブロックから作った組積造のアーチ 校門の建設を通して感じたこのプロジェクトでの「建築」のあり方を語ります。

ブース、セッションともに松原研の成果の集大成をご覧いただける機会です。みなさま揃ってぜひご来場下さい。(澁谷一騎)

2013年11月12日

「DOMANI・明日」展プレイベント出演のお知らせ

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現在松原研究室では2013年12月14日から14年1月26日まで開催予定の「DOMANI・明日」展(会場:国立新美術館)の準備をしています。このプレイベントに松原さんが出席することになりましたのでお知らせします。この展覧会は1967年から文化庁が実施している「新進芸術家海外研修制度」の研修員経験者による展覧会で、今回初めて建築部門の展覧会が開催される運びとなりました。松原さんは2002年から美術(建築)の3年派遣でこの制度を利用して中国で研修をしています。

タイトル:Emerging Architecture
16th DOMANI・明日展、初めての建築家展開催へ向けて
日時:2013年11月18日(月)、会場1800、開演1830-2030
会場:早稲田大学大隈講堂
パネリスト:栗生明、小川晋一、林寛治、原田真宏、藤井由理、
松田達、松原弘典
モデレータ:古谷誠章
料金:無料
申し込み方法:こちらのウエブサイトからメールで聴講登録をお願いします。

以上、よろしくお願いします。(中岡詩保子)

2013年11月11日

B1(06),B2(06)/11月11日研究会ログ

今週の研究会は、ドマーニ展、ORFの確認、コンゴプロジェクト(マコパ邸)、卒業制作の順番で行われました。

■ドマーニ展
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展示スペースの寸法を再確認した後に、展示用の断面図、立面写真、航空写真のトレースのチェックを受けました。模型を航空写真に直に置くために模型と断面図を修正する、全体の図面・写真の色調を統一する、写真と模型の窓を一致させるなどの指摘がありました。

■ORF
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本日はコンゴ、口永良部島両プロジェクト合同でパネルの最終確認を行いました。コンゴプロジェクトは模型を今年度のアーチにバージョンアップするよう、指示がありました。模型とパネルを有効活用しながら来場者の方々に各プロジェクトの概要を分かりやすく説明できるようにしましょう。

■コンゴプロジェクト
アカデックス小学校に通っている生徒のご両親から依頼された住宅の設計を行っています。パース、断面図2面、平面図、屋根伏図のチェックが行われました。全体的に図面の精度は上がってきました。屋根の波板の下から見える垂木を鼻隠しでカバーすることで収まりを良くすることが提案されました。断面図の文字の大きさの調整、目地を通さないブロックの積み方を検討するなど、今後も細かい調整を行っていきます。

■卒業設計
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・中岡(4年)
山中湖周辺を敷地対象とし、死を目前にした高齢者が家族と通えるリゾートホスピスを建てる計画
ホスピスの施設内容の明確化を進め、立体的にスタディしていくよう、松原さんからアドバイスを受けました。

・渡部(4年)
羽田空港近くの団地を一部改築し、シティホテルをつくる計画
シティホテルにこだわらず、団地エリアの再開発化として大きく捉えるよう、指摘がありました。近年増加中のアジア人移住者・旅行者を対象としたアジア特区にしてみてはどうか、と松原さんから提案がありました。

・藤咲(4年)
コンゴのキンボンドにゴミ処理場と教会が一体化した施設をつくる計画
あざみ野の地主さんに話を聞いて調査を行い、ゆかりある元の敷地を再調査をすることが勧められました。

・大岩(4年)
熊本県人吉に木を使ったドーム型の研修施設をつくる計画
小さな模型ではなく敷地全体の模型をつくってみてはどうか、と指摘がありました。

・梶原(4年)
庁舎と一体化した橋の計画
橋と庁舎のみに絞り、議場をどこに配置するかを考慮することで構造・プログラム的に解けるはずだと松原さんからアドバイスがありました。

ドマーニ展、ORFの準備もいよいよ大詰めとなってきました。作業量は多くない代わりに、普段は取りこぼしがちな細かい部分まで目を行き届かせ、丁寧に作業できる良い機会です。新建築などを参考に伝わりやすい図面表現を学んでスキルアップしていきましょう。(勝山夏奈)

DS(06)/11月11日授業ログ

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smtの建築現場に関するお話が続いています。前回に引き続いて、2000年春頃からの現場での施工について時系列順に追った後、各階の内装仕上げについての解説がありました。

●smtの現場
・外装、天井、床
2000年4月に外部の足場が撤去され、6月には外装工事がスタートしました。外壁や1階の開口部、チューブ周りの天井工事などが同時に進行し、いよいよ、利用者が直接触れたり見たりする場所の仕上げに移ります。床と天井が次々つくられ、6月中にチャンバーや照明まで取り付けられました。smtの3つの要素(チューブ、プレート、スキン)が一気に出来上がっていったのです。
この段階だけを見ると、最後の3ヶ月で急速な工事を行っているように見えますが、この工期で工事を終えられるよう、あらかじめ半年以上前から設計者側で綿密な打ち合わせをして図面を承認しておいて、工場で部品の製造をスタートさせていました。

・見え方のチェック
照明の設置が進んだ7月には本設照明チェックを行い、smtの照明がどのように光るか、街からどのように映るかを何度もチェックしました。そのほか、1階のルーバー天井や、7階のシアター椅子、3階のロールカーペットなど、smtが機能するための最後の仕上げも着々と進みました。7月末には行政機関による竣工検査も行われ、とうとう完成の一歩手前となりました。

・建具と家具の設置
8月に入るとカーテン等の建具と、椅子・テーブルなどの家具が設置されました。2階の家具には建築家の妹島和世さんのデザイン家具が、1・5階の家具にはデザイナーのカリム・ラシッドさんのデザイン家具がそれぞれ設置されました。そのうえで、8月末にはもう一度改めて本設照明チェックが行われました。

●各階の内装仕上げ
[1階 plaza]
・床
600mm×600mmの正方形のギリシャ産大理石パネルが使われました。松原さんはこの大理石を使うため、実際にギリシャの工場へ赴き、大理石の状態や加工の工程をくまなくチェックしたそうです。また、点字ブロックのパネルを貼るのを避けて1つ1つの点を大理石に取り付けることで、大理石の素材感を壊さないように気が配られました。
・天井
基本的には構造鉄板を露出させていますが、オープンスクエアの上部はアルミルーバーが設置されています。このアルミルーバーは多孔質で、メッシュの様になっており、その上には吸音材を乗せて音を吸うしくみがつくられました。
・壁
ほとんどガラスでできていて、風除室のガラスは構造材も兼ねています。また、一部には「押し出し中空セメント板」というセメント板が使われました。中にリブがあって自立し、耐火性能もあるので、仕上げ用のボードや荷重を支える部材を省略することができます。
・家具
この規模の建物に不可欠なのが消火栓です。できるだけsmtの雰囲気を壊さないスマートな消火栓をつくるため、松原さんは関西国際空港旅客ターミナルのガラス張りの消火栓を参考にして、スリムな鉄板で仕上げた消火栓を実現しました。
・照明
2階のスラブのハニカムプレートに埋め込まれました。そこに固定されたライティングダクトから照明器具がぶら下がっており、角度や位置などを自由に調整できます。

[2階 information]
・床
基本的には塩ビのタイルですが、子どもの図書室はグレーのカーペットが使われました。床材を変えることで、空間の雰囲気も変化しています。
・天井
ガルバリウム鉄板でできたルーバーの間に照明が入っています。このルーバーにも小さな穴が開いており、その上にスプリンクラーヘッドと集熱板が乗っています。
・壁
2階の内壁は、掲示板スペースとなるようマグネットの使える鉄板を使い、さらにドットをシルク印刷して掲示物をきれいに並べてもらえる目印になるように工夫されました。
・家具
ガラス張りのマガジンラックなど、雰囲気を高める家具がコーディネートされているほか、妹島和世さんのデザイン家具が採用されました。

[3-4階 library]
・床
ベージュ色の長尺カーペットが採用されました。毛足の長いカーペットであるため、現在は、人が歩くところに黒い汚れがついてしまっています。
・天井
プラスターボードの上にリシンが吹き付けられています。これにより、サンド仕上げの様に見え、面にひびが入っても目立たないようになりました。
・壁
フロストミラーが使われました。サイン計画については、竣工前に文字の大きさやデザインについて何度も仙台市とすり合わせを行い、承認が得られていたにも関わらず、施工後に「見えにくい」などの理由でデザインを無視した大きな文字のシールが貼りつけられているので、松原さんは残念に感じることがあるとのことです。

[5階 gallery]
・床
松のフローリングが使われました。外壁ガラス付近は、結露防止のため、他の階と同じように床下空調の吹き出し口が設置されています。しかしそれ以外の部分については、ギャラリーという機能の都合上、床下空調の吹き出し口を自由に作れないという制約がありました。そのため、壁に空調の空気を通し、壁と天井の間から空気が噴出してくるというしかけがつくられました。
このように、条件として建築に必要になっている様々な要素をどうやって隠したり、スマートにしつらえたりできるかというのも、設計者の大切な仕事です。
・壁
プラスターボードの上に、繊維混入ケイカル(ケイ酸カルシウム)板を張り、釘を使った展示が行えるように工夫されています。釘を使うことができないプラスターボードの機能を補完しつつ、防火性能も保つことができるこの組みあわせは、現在では、美術館やギャラリーといった建築を作るうえでの常識となっています。
・照明
壁を均一に照らすことができるよう、ウォールウォッシャーが取り付けられました。アルミの板に蛍光灯の光を反射させ、その反射光が壁を照射するしくみです。壁の一部だけを照射するときのために、ライティングレールも取り付け、このウォールウォッシャーとライティングレールの両照明のコラボレーションで、ギャラリーに様々な表情を作り出すことに成功しています。

今回は、現場での認識とクライアントの認識が必ずしも一致しないことや、実現したい理想を法律や規制が邪魔をすることによる設計者の苦悩と、巧みな解決策について知ることができました。このようにsmtのプロセスと理念を学んでいくことで、他の建築を見る時にも想像を膨らませることができる色眼鏡(レンズ)を養うことができればいいと思います。
先週11月04日の授業は松原先生グッドデザイン・エキシビジョン参加のため休講でした。これにかかる補講は、11月30日土曜日の2限に行われます。ご注意ください。(柳田遼太)

2013年11月03日

SFC CLIP掲載のお知らせ

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慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの学生メディアであるSFC CLIPの特集「CLIP流研究会シラバス」で、松原弘典研究会が紹介されました。詳細はこちらをご覧ください。
SFC CLIP: オルタナティブ建築設計でものづくりの楽しさを学ぶ 松原弘典研究会

この特集は、今SFCで注目を浴びている研究会のゼミにSFC CLIP編集部員が突撃取材を行い、シラバスだけではわからない研究会の実情を調査するコラムです。記事では、現在活動中の各プロジェクトの紹介のほか、松原さんから見た学生の印象や、学生から見た松原さんの印象など、様々な興味深いインタビューが掲載されています。ぜひご覧ください。(柳田遼太)

2013年11月01日

新建築2013年11月号掲載のお知らせ

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雑誌『新建築』2013年11月号に、松原研で設計施工を行った「コンゴ民主共和国日本文化センター」「コンゴ民主共和国アカデックス小学校第2期~4期工事」が掲載されています。松原さんのエッセイ「最新よりも最適な建築をつくる」もあわせて読むことができます。巻末のデータシートには、今までアカデックスプロジェクトで現地渡航した学生の名前が全員出ています。みなさん、買いです。ぜひご覧ください。(柳田遼太)

2013年10月29日

B1(05),B2(05)/10月28日研究会ログ

今週の研究会は、口永良部島プロジェクト、コンゴプロジェクト、ドマーニ展、卒業論文の順番で行われました。途中には、SFC CLIPからの取材もありました。
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■口永良部島プロジェクト
ORFで展示するパネルのチェックが行われ、細かな修正はあったものの、ほぼ完成に近づいてきました。模型のチェックでは、恵命堂お祭り屋根の固定を工夫すること、全体に添景を配置するなどで賑やかにするよう指導がありました。また、ORFで配布予定のポストカードが(エラブ、コンゴ共に)完成しました。

■コンゴプロジェクト
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コンゴにて依頼を受けた住宅設計におけるパース、断面図、平面図のチェックが行われ、梁部分の表記や、GL、FL、CL、RCLなどのレベルの表記、パースの地面表現について指導がありました。これらの直しが行われた後、施主であるコンゴのマコパさんへ今週中に図面を送ることになりました。
ORFに向けたコンゴチームのパネルも完成に近づきました。チェックでは、アーチのパースへの寸法情報の書き込み、アーチの写真の鮮やかさの改善の指示がありました。


■ドマーニ展
松原先生の自邸模型も修繕が進みました。自邸の写真を正面から撮り直し、断面図における手書き部分の追加、カラー化、人の典型を入れるなどの改善点が挙げられました。また、展覧会におけるカタログ作成も始まりました。


■卒業論文
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・鈴木(4年)
小田急線の駅における照明をテーマに執筆しています。小田急線の駅と他社線の駅の照明比較が行われました。先生からは、まずは魅力的である駅を探すところから始め、その中から特に照明が工夫されている事例を探す、比較軸を明確化し、さらに事例を持ってくるようお話がありました。

・西(4年)
アートフェスティバルにおける既存建築の活用をテーマに執筆しています。3つのアートフェスティバルから既存建築を用いた作品のデータが集められました。先生からは、タイトルの意味合いを詰めていくこと、方向性と比較軸を明確化させ、全体の傾向をつかむようにとのお話がありました。

途中行われたSFC CLIPの取材では、インタビューを通して普段聞くことが出来ない先生のお話や、建築設計の醍醐味、また学生が松原研に入ったきっかけなどを聞き、それぞれが松原研の良さを再確認することができたと思います。ハードな作業が続いても、建築が好きだという心を思い出して乗り切りましょう。(澁谷一騎)

2013年10月28日

DS(05)/10月28日授業ログ

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今回は、冒頭で建築設計をする上での同窓会組織の大切さについて、松原さんご自身の経験をもとにしたお話があった後、前回に引き続き、せんだいメディアテーク(以下、smt)の実際の施工現場について、時系列にそった解説がありました。

・チューブとプレートの接合
プレートは工場で組み立てられた状態でsmtの現場へ運び込まれ、下層階から順にチューブと接合されていきます。プレート同士の溶接部分は開先処理がされていて、その後ろには裏当て金という部材が溶接されるのが普通です。しかしsmtの1階の天井は鉄板面がむき出しなので裏当てがみっともないということになり、セラミック裏当てという脱着可能な裏当て部材を用いました。このため今でも1階から2階床下面を観察すると、溶接のビードのみが見えて裏当てはありません。

・耐火被覆
smtのチューブはそれぞれ骨組みとしてプレートを支えたり、縦方向の設備をおさめたりする様々な役割を担っていますが、すべて壁などで隠されておらず見える状態にあるため、どのように耐火性能を与えるがひとつの課題でした。結果的には、チューブの美観を保ち、かつ耐火性能を保つため、すべてのチューブ柱は耐火鋼(FR鋼)を用い、その上で無被覆か耐火塗料塗装か硬質耐火被覆を施すかの3パタンを、場所によって使い分けるという対策を取りました。

・VE案
実施設計時とは違って実際の施工現場では、費用の関係で実現が難しかったり、思い通りの結果が得られないことが予測されたりということが少なくありません。smtは公共工事であり、最終的に予算内に費用をおさめることが強く求められました。そのため、その機能と施工にかかるコストをてんびんにかけて価値をはかるVE(Value engineeringの略)という手法が用いられました。その結果として、屋上を覆うルーバーの面積を減らして減額調整が確保されました。

・ガラスのカーテンウォール
smtの「3つの要素」のうち、一番外側で全体をカバーしているのがスキン(ガラス)です。このスキンは室内と室外を隔てる外壁の役割をもっていますが、室内の空間を快適に保つため、南側のみガラス層を二重にしたダブルスキンとしています。また、ガラスをおくにはその荷重を支えるものが必要で、たとえば授業教室のあるイオタ館はガラスの下の壁がその荷重を支えているのですが、smtでは上のプレートに荷重をかけて外壁は上吊りになっています。なお、1階のみこの方式をとらず、下に荷重をかけていますが、これは、1階の階高が高く、それに伴ってガラスも大きくなっているので、上から吊りさげるとガラスを支える構造が隠し切れなくなり、美観が損なわれるからです。

・耐火スクリーン
建物には法規に則って防火区画を設ける必要があります。防火区画とは、火災発生時の被害を少なくするため、耐火性能にすぐれた壁や床で覆った区画をつくって、避難経路を守ったり急激に火が燃え広がるのを防いだりするためのものです。たとえば学校建築などは防火扉などが設置されており、smtでもこれを設ける必要がありました。
6階のギャラリー階では当初は一般的な防火シャッターをとりつける予定でしたが、当時、市場に流通していた防火シャッターを使用すると、最大でも7m程度の幅の製品しかなく、設置のために少なくとも8本の柱が必要になることがわかりました。これでは「3つの要素」で構成されたはずの空間の雰囲気も損なわれてしまいます。しかし、ちょうど防火シャッターに代わり、防火スクリーンという新しい製品が開発されており、いち早くそれを採用したことにより、20m幅以上のスクリーンを用いることで柱を3本にすることができ、状況は劇的に改善されました。問題はその3本の柱のうち、プラン中央に立つ柱で、これはメーカーの最小値でも250ミリくらいの見付け寸法があります。伊東さんとの打ち合わせではこれをあえて細くせず、600ミリまで太くして時計を付けることで、防火区画の柱のように見せないようにしたそうです。

smtの現場に関する解説が続いていますが、ここで取り上げられた様々な問題と解決策は、すべて私たちの生活に当てはめることができるのではないでしょうか。見えないところと見えるところの力加減をわけて効率化する、機能とコストをてんびんにかける、邪魔だと思うものに意味を与える、などです。
すべての建築には設計者がいて、あらゆるパーツに意味があります。それらが何故そうなったのかを考えることは、なにか新しいことを創造する力につながると思います。

来週11月04日の授業は休講です。なおこの日は、松原弘典研究室設計「コンゴ民主共和国日本文化センター」のグッドデザイン賞・ベスト100受賞にともなう、松原さんのデザイナーズ・プレゼンテーションが東京ミッドタウンで行われます。同時にグッドデザイン・エキシビジョンも開催されますので、ぜひお越しください。詳細はこちらでご覧いただけます。(柳田遼太)

2013年10月23日

グッドデザインエキジビション2013の出展とプレゼンテーションの参加

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慶應義塾大学松原弘典研究室で設計した「コンゴ民主共和国日本文化センター」のグッドデザイン・ベスト100受賞に伴い、以下の要領で展覧会とプレゼンテーションがあります。皆様是非おさそい合わせの上、ご高覧いただければ幸いです。会場はなんと六本木の東京ミッドタウンの、ORFと同じ場所です。

グッドデザインエキジビション2013
2013年10月30日(水)-11月4日(月祝)
11:00-20:00(最終日17時終了)
東京ミッドタウン・ホール(ミッドタウン・イーストB1F)にて
入場料:1000円(チケットをメールでお送りしますので必要な方は松原先生までメールをお願いします)
松原研のパネルはベスト100に選ばれているので、会場の中心に置かれています。ぜひご覧ください。

グッドデザイン・ベスト100デザイナーズプレゼンテーション
ベスト100の入賞者が各5分のプレゼンテーションを会場のステージで行います。松原さんが登壇します。
プレゼンテーション7 14:30-16:08
松原さんのプレゼンは15:14-15:19で予定されています。
東京ミッドタウン・ホール(ミッドタウン・イーストB1F)にて
去年のプレゼンの様子はこちらでご覧いただけます。

よろしくお願いします。(中岡詩保子)

2013年10月22日

B1(04),B2(04)/10月21日研究会ログ

今週の研究会は、まずコンゴ・口永良部ともにORFに向けた作業のエスキスを行いました。また、4年生各々の卒業論文・卒業制作の添削が行われました。
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【コンゴプロジェクト】
現在ORFの準備とコンゴ住宅設計を行っています。
・ORF発表パネル
パネルのエスキス、並びに当日配布するパンフレットのサイズを検討しました。パネルに関しては、主に掲載写真の修正やレイアウト、字体や写真の間隔について指導がありました。全てのページの余白を調整し、来週には完成させる予定です。

・コンゴ住宅設計
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アカデックス小学校に通う生徒のご両親から依頼された住宅の設計を行っています。今回は断面図・プランのチェックを行いました。断面図に関しては、レベルをきりの良い寸法に収めるように指示がありました。プランに関しては、開口部や柱の配置について細かい修正がありました。引き続き植野がプランを、西尾が断面図を作製します。

【鹿児島県口永良部島プロジェクト】
現在、ORFでの展示に向けて、パネルと模型を作製しています。
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・ORF発表パネル
各パネルのエスキスが行われました。
1枚目:文字を変更する。
2枚目:大きい写真を昼間のものに変え、夜間の写真は小さいサイズにする。図面に寸法を記入し、白黒でグラデーションをつけて奥行き感を出す。また省略部分のデザインを変える。それぞれの文章で文字数を減らし、字間を合わせる。

・模型
関口パヴィリオンの模型は、今回作成してきたものをORFで使うことになりました。それにプラスして、ネットを張り、ベッドや水場を作成するよう指導がありました。
また木は、葉は作らずに枝を線材で表現する感じでレーザーカッターで作り直すことになりました。お祭り屋根の模型は、面材にケガキで線を入れたものを使用してもう一度作るよう指摘がありました。

【ドマーニ展】
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都心居住の新しいあり方を考える目的で、2011年の新宿東五軒町ビルリノベーションプロジェクトを題材にしています。現在ある模型を見ながらどのように変えていくかの指導がありました。これから梶原・中岡・柳田を中心に、パネル作製や模型修正を行っていく予定です。

【卒論卒制】
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・鈴木(4年)
適した場所で適した照明を使い、街を演出的にするという研究
小田急線の駅を対象に、照度や色温度の調査を行い、データシートにてまとめることになりました。
・大岩(4年)
熊本県人吉に流れる球磨川に発船場を作る研究
この地域でよく使われる'木'をどう活かすかを考えて、また木島安史設計の球泉洞森林館との兼ね合いを考えることになりました。
・藤咲(4年)
あざみ野に複合文化施設を建てる計画
その土地の地主に話を聞いたりするなど、施設をもっと調査するよう松原さんからアドバイスがありました。
・梶原(4年)
里山の河岸に町の核となる場所をつくる計画
自然災害との兼ね合いを注意しながら地形と上手く一体化させた建築を考えることになり、次回は部分的に設計してくるよう松原さんから指導がありました。
・中岡(4年)
休日の過ごし方を考え、山中湖に別荘を作る計画
水面に近いところに建っている建築物の調査をすると共に、災害を考えた上で水との関係を築ける建築を考えていくことになりました。
・渡部(4年)
葛西臨海公園の干潟の上に施設を作る計画
干潟と繋がるような建物を作るという案だったが、島に建築物を建てる方向になりそうです。来週までに手を動かして形にしてくるよう指導がありました。

全体的に敷地や周辺地域の調査をもっと行い、まずは創りたいものを形にしてみることを松原さんに指摘されました。

ORF本番まで1ヶ月を切りました。
私自身もパネル制作に関わることで、コンゴプロジェクトについて知ることが出来て、作っていて楽しいです。展示パネルも形になってきたので、来場者の方々に興味を持っていただけるよう、さらにブラッシュアップしていきましょう。(高梨紗帆)