一般薬の98パーセント以上に関して、ネット販売が解禁されそうという件は皆様ご存じと思います。私自身が、この業界に関係が深いために、今回は主観に基づきこの件を見てみます。
まず医薬品を売ってるのは①薬局と②店舗販売業の2業態に大別していいと思います。配置薬もありますが、割愛します。
①薬局は、医院からもらった処方箋を持って、薬剤師の人に医療用医薬品を調剤してもらう調剤薬局になります。
②店舗販売業は、処方箋なしの一般用医薬品を扱ってます。繁華街のドラッグストアや商店街にある調剤をしていない個人薬店等です。
薬局の調剤業務には、今回の解禁はとりあえず影響は薄いと思います。
影響が大きいのは、店舗販売業という扱いのドラッグストアや薬店です。
店舗販売業で扱われる薬は1類薬(ロキソニン、ガスター、リアップ等)2類薬(多くの風邪薬、胃腸薬等)3類薬(2類より弱い風邪薬、ビタミン剤等)です。
成分の強さの順は1類>2類>3類です。
今回の解禁案では、2類、3類は即ネット解禁で1類はドラッグストア等で3年くらい販売実績を作ってから、ネット販売解禁になるようです。
1類は薬剤師のみ販売できます。2類、3類は薬剤師と登録販売者が販売できます。そして、有名な風邪薬等が1類でないために、1類の売上高は、店全体の売上構成上の割合としては、非常に低いです。店舗販売業は、2類、3類の売上で従業員を雇用している傾向が強いです。
上記を踏まえて、今後を想像してみました。
ある有名なビタミン剤の値段を比較してみました。
地元の薬店の平均売価は8,000円位 VS 某ネット企業6,000円位 です
この値段差では多くの消費者がネットで購入すると思います。
結果として、薬店やドラッグストアの経営者は、ネットに対抗する為に人件費を下げざるを得ず、企業はブラック化していくでしょう。
ネット解禁されても、一般用医薬品に対する総需要自体が大きく上がることは、考えづらくドラッグストア等で発生していた人件費が、ネット通販会社の株主利益に変わるだけと思います。仮に、ドラッグストアとネット通販会社が薬に関して同額の売上額をあげたと仮定しても、雇用する労働者の数は全く違うはずです。
8,000円のビタミン剤が、6,000円で購入できたら消費者は喜ぶと思います。安倍総理は「一般薬のネット解禁は成長の起爆剤」的な事を言われたと伺ってます。しかし、その裏側で雇用の不安定化とブラック企業化が進む可能性を隠してはいけないと思います。ここに安倍政権の本質が現れてると思います。解雇特区やTPPの発想と根本は同じ気がします。