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リズワディア学園編
先代勇者の制服趣向

それは二日酔いで襲い来る頭痛もようやく引き始め、そろそろ本格的に活動し始めるかー、と漠然と考えていた翌日の昼過ぎ頃だった。

「ここに勇が居る聞いてやって来たでー! ほな勇、さっさと出てこんかーい!!」

二日酔いしている俺にはキツい、やけにデカくて甲高い声が下の階から俺の耳に届いた。

おいおい、俺の部屋には一応扉もあって、多分声の発信源は俺の部屋より二つしたの一階食堂からだと思うんだが、それを物ともせず届いて来るこの大声は一体誰だ?

「ん? ……って、どあああぁぁっっ!!?」

なんて思ってる間もなく、俺は開けっ放しだった窓から延びる蜘蛛の糸(大)が巻き付いていた右腕を物凄い勢いで引かれて、外に出た。


はい、さて質問です。俺の右手にいつの間にか絡まっていた蜘蛛の糸(大)は開けっ放しの窓から延びていて、つまりそれを引っ張られると言うことは俺はどうなる事でしょーか。


「ここ三階なんですけどー!!?」


答え。俺は寝間着のまま空中に放り出された。

三階くらいなら大丈夫じゃないの? と思われる方も多く居るでしょう。
ええ、まあちゃんと着地できるなら三階建てだろうと東京タワーからでも大丈夫ですよ俺は。
でもね、やっぱり突然空中に放り出されるのは怖いんだよ、割と真面目に。

だがまたしてもそんな事を考えるよりも速く、俺はクッションの聞いたベッドに飛び込んだ時のような、独特の揺れを感じた。

「変態さん、いらっしゃーい……なんてな!」

「やっぱり、アリアドネさんか」

どうやら俺は空中に張られた蜘蛛の巣に落ちたらしい。辺りを視るとやけにテンションの高いエセ関西弁のアラクネーが居た。

「えっと、ごめん何のよう?」

頭痛で頭が酷く痛み、若干苛立ちながら聞いてしまったが、このテンションゲージが限界値を振り切ったアリアドネさんには全く効果が無いみたいだ。

「何言うとんねん勇! ブレザーに体操着、それに学園用のスク水を素材のある限り作って来たんやで?」

なん……だと? 

「それを速く言ってくれよアリアドネさん! うひひっ! これで学園を制服パラダイスに変えてやれるぜぇ!」

「勇のそう言う欲望に素直なとこ、嫌いやないで!」

俺はアリアドネさんにお姫様だっこされながら巣から降りた。

「で? 礼の物は?」

「この荷台に各十着づつ乗ってるで」

俺が問うと、アリアドネさんは子猫の撫で声亭の前に停められた馬車の荷台をチラと見る。

「では、早速」

「ほな行くで? 先ずはブレザーやな」

そう言ってアリアドネさんが取り出したのは、明るめの茶色を基調としたブレザーと、チェック柄の赤のスカート。
なんか48人くらい居そうなアイドル集団が着てそうな柄だ。

……うむ、中々可愛いじゃないか!

「スキルは自動修復オートリペアに自動障壁の二つやな」

「装備として見るとスク水程じゃないが、十分優秀な部類だよな」

ブレザーを撫でて見ると、その手触りにまた俺は感嘆のため息を漏らす。

「男子のは女子を元にデザインしてみたんやけど、見る?」

「野郎の制服なんて見たってしょうも無いだろ。さ、次々! 次はブルマだな!」

俺がそう言うとアリアドネさんは体育着と紺色のブルマを取り出した。

「スキルは自動修復に衝撃緩和、身体能力強化(弱)やな」

「これまた普通に優秀。しいて弱点を言うならブルマが若干食い込む事だがむしろ見てる男子的にはバッチ来いだしな」

「男子用のは短パンにしといたで?」

「野郎の制服なんて以下略! さぁっ!次はスク水だ!」

ついに本命登場だ!

「じゃじゃーん! 注文通りできたでー! スキルは元々の自動修復に自動障壁、魔法力上昇、MP回復はそのままに、新たに回避性能+1がデフォで発動するすぐれもんや!」

アリアドネさんが取り出したるは純白の布で編まれた至高の逸品。 
白スクが陽光に照らされ、キラキラと輝いてすら見える。


しかし、

「いや、まあいまさらだけど、服だけ《・・・》見せられてもね」

そう、ブレザーは可愛いしブルマはエロいし、スク水は後光すら見えるのだが、如何せん俺は衣服に興奮すると言う特殊性癖を持つ男じゃない。スク水は好きだ。でも『スク水愛好家』ではなく、『スク水を着た美女愛好家』なんだよ、俺は。
故に制服だけどーん! と効果音付きで見せつけられても、テンションが跳ね上がるほど興奮はしていない。しかも寝起きだからテンションの上がり具合が余計に低い。可愛いとかは確かに思ったが。

「何言うとんねん! このブルマの太ももの付け根の曲線! ブレザーの、上は鉄壁下はヒラヒラミニスカのこの黄金律! 織ってる最中、何度も興奮させてもろたで! やっぱスク水ばっかやと飽きるからなぁ。最高の一週間やったわ」

満面の笑みで語るアリアドネさんだったが、……うーん、やっぱり俺は納得できていない。

「やっぱモデルが必要だな。勿論、巨乳で美しいお姉様方に!」

「相変わらず黒い笑いが似合うやっちゃなー。まぁその案には賛成やな! やっぱ服ゆうんは着られてこそやからな。んで、モデルの当てはあるんか?」

「一人居るが、次やったらタダじゃ済まなくなりそうなんだよな」

「どないしたん?」

「ああ、別になんでもない。こっちの話」

しかし困ったな。ベルナデットが居ればまた言いくるめてコスプレさせられるんだが、あいつ昨日から帰って来てないらしいし……

「これどないしょっか」

荷台に重なっている制服を指差しため息つくアリアドネさん。
しかしマリーダさんやベルナデットが使えない以上、俺の知り合いにモデルのような美人は居ない。

「どうしたもんかねぇ」

万事窮す。最早この制服の山をそのままリズワディアの学院長に届けるしか無い……。
そしてそれは企画者の俺としては無責任過ぎると言うものじゃないか?
俺は完成品を届けなければならない。しかし今の制服達は完成品とは程遠い存在である。何故ならば女性が着る事を想定されていながら、女性が着た姿を俺が、俺が! 見れていないからである!
そしてそれを完成させるには、エロいお姉様達に試着してもらって、舐めまわすような視線で堪能しなければならないのだ! 
これは、もはや義務である。

だと言うのにモデルがいない。さて、どうしたもんか。

「ヤシロさん……」

「んぁ?」

俺とアリアドネさんが悩んでいると突然声を掛けられた。しかも俺の名前をだ。
そう言えば聞いた声だと思って振り返った俺は凍りついたように動きを止めた。

「お久しぶりですヤシロさ―――」

「ぎゃあああああああぁぁぁっっ!!! ……って、ドート先生じゃないですか。どうしたんですか?」

振り向いた先にドートランジェ先生のあるどアップがあったせいで俺は叫びながら飛び退いた。

「学院長がヤシロさんをお探しで。今お暇でしょうか?」

恐ろしい顔に反して無駄にダンディな声でドートさんは続ける。

「いや今それどころじゃ……いや、待てよ?」

ドートさんの顔を見て思い出した。そう、学院の教師に居るじゃない! 

いい感じにエロい身体な釣り目がチャーミングな女教師が!!
お待たせしました、最新話でございます! 

アリアドネ再登場です。

いやしかし、関西弁って難しいですね。エセ関西弁って設定にしていて良かったです。

ではまた次回! 早く投稿できるといいなー(他人事)


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