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リズワディア学園編
先代勇者は『スク水』を手に入れシビビビビ!
「凄まじいものじゃな」

リズワディア学院学院長ルーガローンは目の前に映し出された映像を見て感嘆の言葉を呟いた。

彼がいるのはリズワディア学院の時計塔内部に存在する学院議会室。

百を越える教師らが、いくつも使い並べ四角形となった長テーブルに座り、その四角形の中心で映される映像に息を飲んだ。

その映し出された映像は、つい先程行われた決闘のものだった

「凄まじい数のライトニングボルトとブリッツレーゲンを全て防ぎ切り、大魔法を受けて無傷。……そして上位統合魔法を無効化し、障壁内部にダメージを与え無力化。……およそ人間とは思えない戦績ですね」

四科生の教師であり研究科に所属する年若い男性魔術師が渡された資料を何度も見ながら呟く。
そしてそれを皮切りに教師陣らが口を開ける。

「二年前話題となった『スク水』を装備したヘンリエッタ二科生も、もはや生徒の域を出ていますね」

「所詮は装備による恩恵だ。『姫騎士』の名のメッキも剥がれたな」

「あの『スク水』の性能は補助の域を出ない。威力は多少下がるだろうと、一般的な魔術師とは隔絶された能力を持つのは確かだ」

「今は彼女の事より臨時講師として雇った少年の事だ。高速移動(クイックムーブ)に自動障壁を破壊したのは恐らく風系下位魔法ウィンドアロー。新系統の魔装剣も使用していることから風系統を得意とする高位の『魔法騎士』型の魔術師だと思われが……」

「魔装剣で上位魔法『サンダーボルト』を防ぎきるとは……。自殺行為だぞ」

「剣が折れる程度で済んでいるのは特殊な術式なのか、それとも魔剣だったのか……」

「なるほど、魔剣ならば納得の結果だろう」

「では統合魔法を無力化した攻撃は? 理論上、障壁を初めとした防御魔法でなければ防げない一撃だった筈だ」

「あ、あれは統合魔法が持つダメージ以上の攻撃をぶつければ相殺可能です」

「彼はその時詠唱も何もしていなかったわ。上位魔法を無詠唱で放ったとでも言うの!?」

「無詠唱で上位統合魔法を越えるダメージだとっ……もはや化け物ではないか……!」

白熱する討論は、ルーガローン自身が内心で考えていた物ではなかった。
そもそも、根本から違った。

(なんと言う事か。……あれほどの力を持ちながら、彼からは魔力が少しも感じられんとは……)

ホビット族はエルフまでとはいかぬものの、魔力に関して鋭敏な感覚を持つ種族だ。

初めて勇と対面した時から、勇の身に魔力の無いことに気づいていたルーガローンは、今回の決闘で、魔力も無いのに魔法としか思えない力を見せた勇に、この場に居るどの教員よりも驚いていた。

「学院長」

「む?」

思考に浸っていたルーガローンは、自分を呼ぶ教員の声に顔をあげた。

「ルクセリアギルドからの物の様です」

「手紙? ふむ」

教員から封筒を渡されると、ルーガローンは蝋で閉じられた封筒を開けて手紙を取り出した。

「…………なんじゃと!?」

社勇の議論で白熱していた教師達は、ルーガローンのその声に静まり返った。

「が、学院長?」

年若い男性教師が問うも、ルーガローンはそれをあえて無視をした。


(……なるほど、のぅ。そう言う繋がりを持っておったのか)

ルーガローンは今まさに話題に上がっていた少年の顔を思い出し、ニヤリと口元を吊り上げた。


「ホホッ。……中々どうして、興味が尽きぬ若人じゃのぉ」

ルーガローンは手紙に記された懐中時計を模した紋章を見ながら、その立派な白髭を撫でた。





レインブルクにおいて、スク水とは一種の魔導具の一つだ。

切り刻まれても再生する自動修復(オートリペア)機能に、魔法攻撃力を底上げする魔法力上昇、周囲の魔力を吸い上げて装着の魔力とするMP回復。 そして攻撃に対して、対物対魔性能を有する自動障壁機能。

計四つ特殊効果を持ちつつも男の欲望を掻き立てる素敵装備、それがスク水だ。

水中戦を想定して作られていながら、その形状が魔術的に優れていた事から改良作業が進みもはや水中装備ではなくなり、女魔導師にとって最優とすら言われた装備だった。

……なのに何故使われていないかと言うならば、まず物凄く価値が高いのと、スク水に心奪われた紳士達の存在だ。

彼らはもはやスク水を纏った女性ではなくスク水に欲情するレベルに至った存在達だった。
彼らは限られた数しかないスク水を奪い合い、時には戦争すら起こしかけたとも言う。

ヘンリエッタは、クレストリア国の貴族からスク水を税代わりに渡されたらしい。 (その貴族は血涙を流しながら、丁寧に畳んだスク水を箱につめ渡して来たと言う)

もしもの為にと、クレストリアの国王から渡されていたものを、俺との戦いの為に引っ張り出してきたようだ。

「ふぅん。……どうりでいつもよりも少し強かったのね」

呆れたようにため息をつくアリシア。ため息が残念そうに聞こえたのは俺の聞き間違いか?

「そうは言うが基本的にスク水の性能は補助の域を出ていない。威力こそ異常ではあったものの、雨のように降らす初級、中級魔法も使えるし、統合魔法も使える。それに剣の腕も中々……ありゃあ傑物だ、シルヴィア並みのな」

百合ロールことヘンリエッタ・デ・クレストリアとの決闘後、いつの間にか決まっていたのだが、決闘の褒美として12歳の美少女が着ていた生スク水をゲットした俺。
俺は子猫亭の一室でそれを片手に、俺の様子を見に来たアリシアと話していた。

脱いだ後に洗濯もさせて貰えず俺に渡す事になったヘンリエッタは、顔を真っ赤にて俺を睨みつつ、この12歳の少女が着ていた生スク水を俺に渡して来た。
んで、受け取ったわけだが、………これを俺にどうしろと?  着ろと?

「ふふん! 私が着てあげよっか?」

誰得だよ。少なくとも俺は嬉しくないね。

「むー。何よ、勇のくせに!」

「だーっ、暑苦しい、寄るな」

好きあらば抱きついて来るアリシアを片手で止めながら、俺はこのスク水をどうしようか考える。
好事家に渡せば大金が入るほどの逸品らしいが、はっきり言ってそんな大金なんていらん。………我ながらなんて物を異世界に持ち込んでしまったものだ(作ったのはこの世界の人なのだが)

「ヤシロさーん! いらっしゃいますかー? マリーダさんに帰ってらっしゃると聞きましたよー?」

ドンドン、と言うノックと共にベルナデットの声が聞こえる。

「べ、ベルナデット!?」

く、くそっ! 今俺の部屋にはリーゼリオンの皇女、アリシアが居る。
一国の姫がこんな場所に居ることがバレたら………!

「はい、ベルナデットです。ヤシロさんが決闘とかやってる内に食べ歩きしていたのですが、中々美味しいお菓子を見つけたのでお裾分けに来ました!」

食い意地張ってるくせにお裾分けだと!? 普段しないくせに、こんな時に良い子ぶりやがって!

「? ……おかしいですね。今何故かとてもバカにされた気分になってしまいました」

「アハハハハ、それは確かにおかしいねー。……あ、後で貰うから後にしてくれないか?」

何か言いたげなアリシアに、人差し指を立てて『静かに!』とサインを送りながら俺は部屋の扉の向こうに居るだろうベルナデットに言う。

「……何かあやしいです」

 ガチャガチャ……ガンッ!

 「!?」

 ドアノブが回ったと思ったら、勢い良くドアが開かれ、ベルナデットが部屋へ入って来た。

 「! ……もしやとは思いましたが、幼い女の子にまで手を出すとは……流石ヤシロさんですね!」

 ベッドに腰掛ける俺と、その俺の腰に腕を回し抱きついているアリシアを交互に見てため息をつくベルナデット。
 ……なんか知らんがロリコン扱いされてね?

 「おい、俺は手なんか出してねぇぞ」

 「犯人は皆そう言うのです」

 ニヤリとドヤ顔を見せるベルナデット。久しぶりに面倒だぞこいつ。

 「勇、この女性は?」

 そんなベルナデットを前に、俺に抱きついていたアリシアが立ち上がり、そう俺に聞いて来た。

 「私は『代行者』、『銃撃』のベルナデット! ……? 貴女、ヤシロさんの知人なのですか?」

 俺が答えるよりも早く名乗りを上げたベルナデットだったが、アリシアの言葉に疑問を抱いだいたらしく、首を傾げアリシアを見下ろす。

 大体ベルナデットの鎖骨の高さに、アリシアの頭が並んだ。

 問われたアリシアは、天使のように微笑みながらベルナデットに向き直り頷いた。

 「妻です」

そして右耳のピアスをわざわざ見せ付けるアリシア。それはまるで、ある日突然現れた泥棒猫に対し、圧倒的な自信と共に婚約指輪を見せ付ける妻のようだった。

 「……ヤシロさん」

 「待て、話せばわかる」

 スリットのスカートに手を入れようとしたベルナデットに、俺は割りと必死に静止の言葉を向ける。
 だってなんか目が怖いんだもの。

 三年前、俺は魔王討伐のために世界を巡った。その旅の途中、ある日、あまりにも女子分を不足していた俺は正気を失い、一緒に旅をしていたメンバー(女性人)の下着を頭に被り高笑いしつつ爵位もちの魔族を撃破すると言う奇行をやらかした時があった。

 その後俺は正気に戻る訳だが、貧乳達の下着で歓喜していた己を恥じていると俺と同じように正気を失い狂化した女子メンバーにリンチされたことがあった。

 なんとなく、その時のシルヴィアに似てる。

 「お前は誤解をそているんだ! た、確かに俺はその子、……えぇいっ! アリシアとは知人だ! だが俺はそんなロリロリペタンな女の子になんて手は出さない! 十年後に来いってんだ!」

 「……なるほど、確かにヤシロさんは年上でおっぱいの大きな女性を好みとしています。……」

 顎に手をやり思案するように何度か頷くアリシア。

 ……ふぅ、なんとかロリコンなんて言う汚名を被らず済んだようだな。ここはもう少し俺が年上スキーかを語ってトドメを……

 「そんなっ、ひどいわ勇! 昨日はあんなに愛し合ったと言うのに!」

 こ、コイツ……浮気され、更に捨てられてしまう風の演技をノリノリにっ!

 「塵は塵に。………灰は、灰にっ!!」

 スカートから現れるロングバレル。それは、人の丈に迫る大きさを誇る長銃!
 スナイパーライフルを取り出したベルナデットは、その銃口を俺の額に押し付けた。

…………そ、それは……割とマジでやったら不味いんでない? と言うかスナイパーライフルなんかもあったんだ。分解(バラ)してー。

「ご安心を。この前から間違えて撃っても良い用に、私の魔銃の全てに、『パラライズ』の魔法弾を装填しています」

 先ず間違えて撃つな!」

ガウゥンッ!! 

 シビビビビビビビビビビビビッ!!??

 「……その痺れが取れたら先ずはお説教ですからね、ヤシロさん!!」

俺は一気に全身に麻痺が回りビクンビクンと全身を痙攣させながら、誤認による制裁を俺に加えやがったベルナデットと今俺の視線の先で小悪魔のような笑みを浮かべてクスクスわらうアリシアに、キツーイお仕置きを与えてやる事だけを考えながら痺れが解けるのを待つのだった。
脱ぎたてほやほや




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