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勇者召喚
召喚されし勇者と先代勇者
勇者とは?と問われたら、貴方はどう答えますか?

いや、言わなくてもわかる。
なんとなくわかる。

とりあえず「は?」と答える事だろう。

脈略無くこんな事を問われ

「勇者とは一般的に~(略)日本で有名になった切っ掛けは、RPGゲームドラゴンクエ~(略)最近ではネット小説で良く取り上げられ~(略)」

なんて真顔で答えられる方が可笑しいと言えるものだ。

では質問を変えるとしようか。


貴方は勇者になりたいですか?



ん?……お前はどうなんだって?




俺はもう二度とごめんだね。

少なくとも、そう思ってた。








「どうかこの世界をお救いくださいっ……」

赤いドレスを着飾った高貴そうな少女が深く、深く頭を下げる。

その少女の後ろに居た、近衛騎士らしい女性達は膝をつき頭を下げる。

彼女らだけでない。

語彙の少ない俺では語れない程の絢爛さを見せる大きなこの部屋に立ち並んでいた、どうやらこの国の重鎮らしい老人達もが膝をつき、羨望の眼差しでこちらを見ていた。

「…魔王を討ち払ってくださいっ、勇者様っ!」

その翡翠色の瞳を涙で揺らした少女は、金糸と見紛う程の美しい金色の髪を揺らして懇願する。



「…………」


彼は絶句していた。

学校の帰り、親しい友人達と帰路に就いていたら突然光に包まれこの場所に居たから?
中世にタイムスリップしたような人たちの服装に困惑したから?
いや違う。目の前の美しい少女が、儚げに泣いていたからだ。


「俺で、良ければ」

気づけば彼は頷いていた。


その日、勇者天城海翔(アマギカイト)がこの国、いや、この世界に誕生した。










「………マジ、かよ」

その新たな勇者、イケメン君の後ろでひっくり返った体勢のまま、彼、社勇(ヤシロユウ)は、呟く。


「また、異世界なのかよ…っ」

渇いた笑いを漏らす彼。その表情は絶望に満ち溢れていた。


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