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緑豊かな神戸で育つ　夜景を見ながら下校

張文芝（以下、張）　今回は日本企業の中国ビジネスを支援する、日中経済協会の横山さんにお話を伺います。横山さんは兵庫県出身で、小学校時代を神戸市で過ごされたとか。

横山達也（以下、横山）　六甲山の近く、灘区の鶴甲（つるかぶと）に住んでいました。学校は山の上にありまして、朝は上り坂できつかったのですが、帰る時に見下ろす夜景が本当に綺麗で心に残っています。

張　私が留学した神戸大学のすぐ側ですね。私も授業が終わって帰るときの開放感とあの景色、よく覚えています。春の桜も素晴らしいです。

横山　そうなんですよ。あと、当時は今よりマンションも少なくて、リスが居るような森もありました。今でも僕の中の神戸は、緑が豊かな一方で都会的な部分もある、そんな街です。

30歳で北京に留学　経験生かし交流を支援

張　大学卒業後は、静岡県で就職されたんですね。

横山　新聞記者として、1年目から望遠レンズとカメラ、脚立を持ってオウム真理教の第六サティアンにも行きました。その後、支局にて街の情報を扱い、26歳の時には浜松で政治担当として選挙も取材。ただ、30歳を目前にして外の世界を見たい、一回違うことをしてみたいという気持ちが強まり、「旅に出たい」と退職しました。

張　そこで、中国に留学されたわけですね。

横山　中東か中国かと考え、中東の情勢が不安定でしたので中国を選びました。北京では30歳無職の留学生として面白がられ、企業の方々にも折りに触れて食事に呼んでいただいたり。その結果、人脈も広がり日中経済協会で働くこととなりました。

張　これまでの色々な経験が、協会の仕事でもお役に立っているのではないでしょうか。

横山　72年に設立された当協会は、日中交流のお手伝いが使命です。日本から中国に対するビジネスアプローチの支援、情報提供、人材研修などを行なっています。様々な方の声を聞いて周囲に伝える役割もありますので、新聞記者として学んだ、事実をどう捉え相手にどう伝えるかを考えること、留学時代に色々な国の人と知り合った経験なども生きていると思います。

顔を付き合わせて　信頼関係を作る

張　国際人としての心得は、「知る努力　知られる努力」と書いて頂きました。

横山　今の時代、全ての人が国際人かと思います。インターネットによって膨大な情報を共有できますので、自分が興味を持った対象を知る努力は、多くの方がされているのではないでしょうか。しかし、「知られる」ことに対して意識的でない場合が多いように感じられます。

張　相手にどう理解されるか、といったことでしょうか。

横山　服装なども含め、相手にどう見せたいか。例えば、我々は半官半民のせいもあるのか、相談に来られる中国の方も多いです。そこで意見を聞かれたら、あいまいに答えるのは良くない。顔と顔を付きあわせた「面对面（faceto face）」なら、相手にとって厳しい内容もはっきり伝えたほうが、信頼関係を築けると感じます。

張　あいまいに伝えることで、誤解が生じる時もありますね。

横山　丁寧すぎると、伝わらないことがある。「友好」という気持ちがあれば、意見が合わなくてお互いに納得は出来なくても、理解はしあえる関係ができますよ。

学生時代は探検部　ヴィクトリア湖を横断

張　横山さんは、大学で探検部に所属、世界各地に足を運ばれたという行動派です。

横山　自然が大好きで、趣味は登山。学生時代にはアフリカのヴィクトリア湖にて、カヌーによる人力横断に挑戦しました。日本人4人、現地人3人のメンバーで九州2個分の距離を漕いで3ヵ月。出会う人達とは全く言葉が通じなかったので、全部ボディランゲージでした。

張　それはすごい。コミュニケーション力は、国際人を超えて宇宙人レベルです（笑）。

横山　いや、自分ではただの関西人だと思っていますよ（笑）。

プロフィール

横山 達也（よこやま・たつや）
●1971年兵庫県生まれ。小学校までを神戸で過ごす。94年、静岡大学を卒業し静岡新聞社に入社。2001年、北京市に留学。02年から日中経済協会に勤務し、12年5月より上海事務所所長。