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『週刊ダイヤモンド』特別レポート
【第217回】 2013年11月15日
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週刊ダイヤモンド編集部

バレたらクビ!現役サムスン社員・覆面座談会
「週刊ダイヤモンド」11月16日号特集
【サムスン 日本を追いつめた“二番手商法”の限界】拡大版

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――楽しい感じになってきましたが、時には日本が恋しくなりませんか。

Cさん わしはこっちの生活楽しいで。わしの経験やと、なんかソニーのやつはサムスンと合わへんのよな~。関西のノリで、ええかげんなやつが合うと思うわ。こればっかりは、優秀かどうか言うよりも、合う、合わへんの問題やからな。

 スーパーとか行くと、よくエスカレーターとか止まってんのよ。電気代の節約か知らんけど、そういうのにいちいち引っかかってたら、韓国で暮らすのは大変かもしれんな。

Bさん 韓国人の出世意欲の強さとか文化の違いに戸惑う人もおりますけど、かわいい部下も多いですよ。素直やし。まだ韓国語がまったく話せない時に、英語と筆談で朝まで飲み明かしたこともありますわ。

Dさん 実は、僕は日本と韓国でちょっと揺れています。まだ韓国語がうまく話せないというのもありますし、サムスンの社内でもあまり日本人同士の交流ってなくて……。

Aさん 私もたまに日本からお客さんが来るとうれしくなっちゃいますね。一人暮らしなのでマッコリとかをもらっても、なかなか空けられないので、そういうときにパーッとやります。

 あと、日本に連絡を取りたくても取れない人も多いですね。競合のサムスンに行くって周りに言えなくて、家業を継ぐとか、趣味の自転車を仕事にするとか、いろんな口実で前の会社を辞めているから、気まずくて下手に連絡がとれない。

Cさん わしの場合、正直に「サムスン行きます」言うたら役員に監禁状態にされたわ(笑)。「辞めるのもどこ行くのもかまへんけど、サムスンだけはやめろ」と。ライバル会社ということではなくて、すっごい嫌いやったんやって。サムスンは手を出さないって条件である製品を作らせたのに、約束破ったかなんかで。

――日本の家電メーカーはサムスンに圧倒されてしまいましたね。

Aさん 前職の日本家電メーカーで労働組合をやっていたことがあったんですが、そのときに経営陣の考えを聞いて、これでは絶対にサムスンに勝てないと思いました。今から何年も前ですけど、当時から利益率が比べ物にならなかった。

Dさん 僕もサムスンに入社して強さの秘密がよくわかりました。原価構造が日本製品とは比べ物にならないくらい低くて、これではとても勝負にならない。

Aさん 日本の家電メーカーにも頑張ってほしいですけど、ここまでひどくなるとは……。

買ってきた技術ばかりだから
トラブルを自分で解決できない

――逆に、サムスンで働いているからこそ見えてくる、サムスンの課題点はどこだと思いますか。

Cさん さっき話に出てきた成果主義やね。あまりに短期間で結果を求めすぎる。これはもう変えなあかん。

Bさん まず上司へのプレッシャーのかかり方がすごいですわ。せやから、下の研究員が長期研究をしたい思うても今の人事制度では不可能やと思います。一度でも平均以下の評価をもろうたら昇進はないですからね。幹部クラスになると、それが実質クビを意味しますね。

Aさん 製造で何か問題が起きたときに、原材料や技術の根幹部分の要素技術にまでさかのぼらなければいけないことがあります。ですが、サムスンは長期研究ができない。「そういう技術はリターンが少ないから買ってしまえ」という方針なので、そこが本当に弱いです。自分で解決できる技術力がない。

 そういう時に活躍するのが村田製作所や京セラ、キヤノンといった企業で、液晶や半導体工場に製造装置を入れるとなると、日本企業の技術者で近くのホテルがいっぱいになります。

Dさん 日本企業との関係が途絶えると何もできなくなる可能性がありますよね。サムスンの技術者にありがちなんですが、「知っているけどできない」ってことが多いです。知識では知っていても経験がないとか。

Bさん それでも勝者はサムスンいうんが、“日本人”の“サムスン社員”としては複雑ですね。

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