■激しい競争の実情
現在韓国の外国為替市場では国内4社、外資系6社のブローカーがシェアを争っている。ブローカー職員は約250人いる。大口で頻繁に取引を行う国内の為替ディーラーは約20人だ。平均すると、ブローカー10人がディーラー1人を獲得するため競合する構図だ。その上、ブローカー職員の多くは契約職なので、会社だけでなく個人の生き残りをかけた営業でもある。
1998年に1日当たり11億ドルにすぎなかった韓国の外国為替取引は、昨年末には216億ドルへと20倍に増加した。市場拡大に伴い、世界の5大為替ブローカーが韓国市場に進出し、昨年には国内で2社が政府の認可を受けて、新規参入した。
ウォン・ドルのスポット取引は、ソウル外国為替仲介と韓国資金仲介による寡占体制で、為替スワップ、為替先物、為替デリバティブなどの市場は10社が競合している。
為替スワップ市場が昨年末現在で109億ドルと最も大きく、スポット市場(91億ドル)、先物・デリバティブ(16億ドル)の順となっている。
外資系の為替ブローカーは、世界各地に張り巡らせた情報網と知名度を武器にディーラーを攻略している。ディーラーが知りたがる投資関連の海外ニュースを現地拠点から速やかに入手して提供している。海外市場での注文を国内ディーラーとつなぐ強力なネットワークは強みだ。
世界的大手である英国のICAP、タレット・プレボン、BGC、スイス系のトラディションなどは、ウォン・ドル取引が主流の韓国の為替市場の特性上、営業に制約があるものの、為替デリバティブの仲介などでは上位を争っている。ICAPは全世界での売上高が年間3兆ウォンに達し、韓国資金仲介(370億ウォン)の80倍にもなり、規模の面で比較にならない。
■市場規模の同時拡大が必要
為替ブローカーの競争は激しさを増しているが、韓国の外国為替市場が経済規模の割には小さいとの指摘がある。国際決済銀行(BIS)が2010年に調べたところによると、韓国の1日当たりの為替取引の売買代金(銀行と銀行顧客による取引も含む)は438億ドルで、国内総生産(GDP)の5.3%、年間貿易規模の13.2%だ。これは先進国の平均値であるGDPの15.9%、年間貿易規模の32.4%を大きく下回る。世界の外国為替市場に占める韓国のシェアは0.9%で、世界貿易に占める割合(3.0%)、世界のGDPに占める割合(1.6%)に遠く及ばない。
高麗大のオ・ジョングン教授は「外国人投資家の為替取引を拡大するためには、金融当局による為替市場への介入を減らし、多彩な為替商品を自由に取引できるように規制を緩和する必要がある」と指摘した。