外国為替ブローカーA社のL次長は最近、毎晩夕食の約束が入り、忙しい日々を送っている。年末が近づき、銀行の外国為替ディーラーを接待する場が増えたからだ。外国為替ブローカーは銀行、証券会社、ノンバンクなどの外国為替取引を仲介して手数料を得る立場だからだ。
L次長は「先週は月曜から金曜まで毎日酒席が入った。周辺には肝機能の数値がおかしくなり、不規則な生活で離婚の危機に直面した社員も少なくない」と話した。
為替ブローカーは、40代半ばで管理職に昇進するほど、ハードワークで知られるが、最近はブローカー間の競争が激化し、ディーラー相手の営業がエスカレートしている。しかし、為替ディーラーがどのブローカーを選ぶかによって、ブローカーの収益が決定するだけに、ディーラー相手の接待は最も大切な業務なのだ。
■景品提供でシェア逆転も
韓国のドルスポット取引市場は、ソウル外国為替仲介、韓国資金仲介がそれぞれ大雑把に80%、20%のシェアで二強体制を形成しているが、シェア拡大を目指す両社の競争がますます激化している。
今年6月末には、通常シェア20%台で推移している韓国資金仲介が自社の電算システムを使用したディーラーに景品を提供するサービスを行い、シェアをひっくり返した。毎日最高値、最安値、平均値で約定した顧客に対し、マッサージ器、青汁用ジューサー、コーヒーメーカー、ホテル宿泊券などを贈ったところ、韓国資金仲介のシェアは一時70%まで上昇し、ソウル外国為替仲介のシェアは30%台に急落したのだ。しかし、景品キャンペーンが終わると、大口顧客はソウル外国為替仲介に戻り、シェア逆転はわずか1週間で終わった。
今年4月にはシェアで劣勢の韓国資金仲介が打開策として、ディーラーが使用するブローカーごとの端末機を統一することを提案した。これに対し、ソウル外国為替仲介は、従来の営業権を無視する提案だと一蹴した。企画財政部(省に相当)、韓国銀行など為替当局が仲裁に乗り出したが、両社の主張は7カ月にわたり対立し、進展が見られていない。