▼伊勢エビが値上がりしている。市場卸値が一週間で三割高。BSE(いわゆる狂牛病)問題当時の松阪肉を思わせる。生産地厳格化の動きが出たが、今回も「ロブスターを伊勢エビと称して売っていた業者が慌てて本物の仕入れに動きだした」と市場関係者。歴史は繰り返す
▼鳥羽の老舗旅館「戸田家」で四、五年前、会席料理コースを食べたことがある。近海で取れた食材ばかりの触れ込みだったが、近くの海産物店で買った伊勢エビに比べ小ぶり。味もいまいちだった。「一部の加熱調理メニューにつきましては、外国産の伊勢海老を使用しております」という、戸田家の説明と関係があるのかどうか
▼「外国産ではございますが、イセエビ科の伊勢海老。メニュー表記との間に齟齬(そご)はございません」とも。問題企業にはつきものの釈明ではある
▼鈴木英敬知事の先の記者会見―。ブラックタイガーもバナメイエビも「あれみんなクルマエビ科ですから、妻が買ってきて食べましたけど、しっかりとした味なのです。不適切表示が悪いということで、そこは誤解が広がらないように」。「県の食に対する信頼を損なう行為で遺憾」という発覚当初のコメントと、こちらは温度差があるが、戸田家の釈明には近づいた気もする
▼コメの産地偽装事件も、ミスを含めそう珍しいことではない。五年前に大阪の精米製造・卸売業者が猶予刑を受けている。社長が女性なのはたまたまだろうが「ここらへん全部やってますよ」と会見で言い放って話題になった。巧妙で、DNA鑑定の必要もうたわれたが今、また話題になっている。 |