« 道東の鉄道遺産を巡る。(4) | メイン

2013年11月18日

道東の鉄道遺産を巡る。(5)

131116n001.jpg
▲弁天ケ浜の海岸を大きく回り込むように知人駅を目指すシャトルトレイン。ご案内いただいた釧路臨港鉄道の会の皆さんもめったにないと仰るほどの好天で、画面左後方には遙か日高山地の雪山も望める。'13.11.9 春採-知人 
クリックするとポップアップします。

釧路公立大学地域分析研究委員会のセミナーに出席した翌日は、釧路臨港鉄道の会の皆さんのアテンドで太平洋石炭販売輸送臨港線の沿線を見学させていただきました。ご承知のようにもと釧路臨港鉄道の太平洋石炭販売輸送臨港線は、国内唯一の海底炭鉱として操業している釧路コールマインの石炭を南埠頭へと搬出する重要な役割を担っています。

131116n002.jpg
▲朝8時30分、D701を先頭にした一番列車が積込場へと向かう。ボンネットサイドには"Shuttle Train since 1977"の文字が描かれている。'13.11.9 春採 
クリックするとポップアップします。

"シャトルトレイン"の愛称のとおり、太平洋石炭販売輸送臨港線の運炭列車は石炭車24輌の前後にディーゼル機関車を連結したプシュプル方式で運転されています。なおかつこの1列車は12輌編成の2列車を背面合わせで連結したような状態となっており、それぞれが"A車"、"B車"と呼ばれ、知人駅の桟橋で自動解放・分割されるシステムです(アーカイブ「太平洋石炭販売輸送を訪ねる」参照→こちら)。

131116n213.jpg
▲釧路名物(?)のディーゼルエレクトリック機DE601は知人側の先頭を務める(アーカイブ「DELと3連接電機、後日談」参照→こちら)。1970(昭和45)年製とは思えないほど美しい姿でこの日も主力として活躍していた。'13.11.9 春採 
クリックするとポップアップします。

131116n215.jpg131116n216.jpg
▲松山重車輌工業(MJK)製のかわいらしいモーターカー(左)はインスペクションカーとして始発の前に本線を巡察する。右は連接構造が特徴のセキ6000形。'13.11.9 春採 
クリックするとポップアップします。

原則として平日4往復ほどの列車が設定されていますが、あくまで荷主である釧路コールマインでの出炭状況に左右されるため、毎日必ず運転されるとは限らないのが実態です。この日は土曜日とあって果たして動いている列車に出会えるものか懸念されましたが、幸いなことに午前中だけで2往復の"シャトルトレイン"を目にすることができました。

131116n003.jpg
▲春採湖湖畔に架かるささやかな春採川橋梁を行くDE601。奥に見える近代的な建物は釧路市立博物館。'13.11.9 春採-知人 
クリックするとポップアップします。

131116n212.jpg
▲春採の選炭工場全景。工場群や手前のシックナーなどほとんどが太平洋炭礦時代のままの風景。丘の上にはかつてのっぽ電機が活躍した坑外軌道の架線柱が残る。'13.11.9 春採 
クリックするとポップアップします。

それにしてもこの春採の地を訪れるたびに思い出すのが、運炭用坑外軌道のスライスチーズのような電気機関車たちのことです。坑口と選炭工場を結んでいた複線2フィート軌道は実に活気溢れるもので、宅地化が進む市街地を抜けてひっきりなしに運炭列車が走り回っていました。

131116n214.jpg
▲運炭用2フーターが敷きめぐらされていた選炭工場の丘の上は、今では広大な空き地となっている。前方に桟橋と架線柱が残されているのがわかる。'13.11.9 春採 
クリックするとポップアップします。

131116n303n.jpg
▲上の写真と同地点の38年前。さながらスライスチーズのような奇妙な電気機関車に牽かれた運炭列車がひっきりなしに走り回っていた。'75.4.2 春採 
クリックするとポップアップします。

残念ながらその電気軌道の末裔も昨年春に架空線を取り払われてバッテリー化されてしましました(アーカイブ「ついに運転を終えたノッポ電機」参照→こちら)が、とはいえ現役の鉱山軌道を目にできるのも、ここ釧路ならではと言えましょう。

131116n004.jpg
▲釧路コールマインの現役の春採坑を敷地外の公道から見る。ラッキーなことに、近年導入された新トモエの10t蓄電池機関車(中央)、古参の5t蓄電池機関車(右)、そして斜坑を下る人車(画面左奥の白っぽい車輌)とスリーショットを目にすることができた。'13.11.9 
クリックするとポップアップします。

wagakuni11bn.jpg

RML171bn.jpg

keio100nn001.jpg

130930nbnjnr10.jpg

seibujyu.jpg



ページTOPへ