国家秘密:妥当性チェック 権限強力な監察機関で
毎日新聞 2013年11月18日 08時48分
◇インタビューに米情報保全監察局長が指摘
【ワシントン西田進一郎】日本で特定秘密保護法案を巡る懸念が噴出する中、米国の国家秘密の指定や解除の妥当性をチェックする国立公文書館・情報保全監察局のジョン・フィッツパトリック局長(51)が毎日新聞のインタビューに応じ、「監察局がなければ秘密指定が増え、市民の『知る権利』が侵害される」と指摘した。同時に日本でも強力な権限を持つ監察機関の設置が有効だと強調した。
情報保全監察局は1978年発足。局長は大統領令により、秘密指定を行った政府機関に実地監察などを行い、指定が不適切と判断した場合は、解除を請求する権限を持つ。
フィッツパトリック氏は「監察局にはどこにでも行き、何でも監察する権限がある。これがなければ、政府機関は前向きに協力しなくなるだろう」と指摘。統一的な秘密指定・解除基準の適用に関する監察局のチェックが入らないと「秘密指定がかなり増え、開かれた政府や基本的な民主主義の原則である、政府の活動を市民が知る権利などが侵害される結果になる」との見解を示した。
そのうえで、監察機関を作る場合には、強力な権限を付すことが重要だとの考えを示し、「日本でも、同様の対応が非常に有効だろう」と語った。
米国の国家秘密指定制度については「全政府機関に同じ規則が公平に適用されることが強みだ」と説明。さらに「いかに秘密を守るかは秘密でない。研究者や市民らとの対話や規則への理解がなければ、不満や不信を持たれる」として、制度の透明性を高める必要性を強調した。監察局は、政府外の諸団体とも制度の向上について話し合う場を作っているという。
フィッツパトリック氏はオバマ大統領の指名を受け2011年8月に監察局長に任命された。国家情報長官の顧問役などを歴任している。